「ベースのあおいとは幼馴染で、小5くらいから一緒にバンドを始めたんです。その頃からクラッシュが大好きで、彼らの曲に勝手な日本語詞を付けて歌っていました(笑)」(アタル)。
と、なかなか早熟な音楽経歴を持つ3人組がハシリコミーズ。パンクをベースに、レゲエやソウルの要素も含むサウンドは、まさにクラッシュ譲り。ファニーなキャラクターも相まって、注目を集めているバンドです。
「ザ・クロマニヨンズがCMでラモーンズをカヴァーしていたのを観て、そこからロックやパンクを聴くようになって。クラッシュ経由でレゲエやスカにハマりました。初期のRCサクセションとかフォークも好きです」(アタル)。
2019年にドラマーのさわが加わり、現体制となったハシリコミーズはこれまでに2作のアルバムをリリース。今年の10月からは3か月連続で配信シングルを発表しました。その第1弾となったのは、ソウル・ミュージックからの影響を感じさせるグルーヴィーな“Tokyo city”。
「この曲は、ギターの歪んだ音とかロックっぽいサウンドが少しイヤになったときに作ったんです」(アタル)。
「デモの時点ではもっとサンバっぽいリズムだったよね」(さわ)。
「山本精一さんが音楽を手掛けたアニメ『マインド・ゲーム』のサントラに“VIVA!”という曲があって、そのイメージもありました」(アタル)。
11月に発表された“気づかないなんて”はロック・ステディ調。「スライ&ザ・ファミリー・ストーンの影響」(アタル)というキュートな打ち込みのビートや鍵盤の音が、心地良い温度感を醸しています。そして、最新曲にあたる“悪いようなことばかり”は激ノイジーなガレージ・パンク。トラッシュな音にはインダストリアル・ラップを想起したりも。
「確かにヒップホップっぽいことをやりたかった曲です。あとボアダムスの昔のライヴ映像をたくさん観ていたので、その影響も確実にあるな(笑)」(アタル)。
連続リリースの3曲で、ハイブリッドな魅力を示したハシリコミーズ。そんな3人が次に向かう先は?
「飽き性というか新しい音楽を知ると、すぐにそれをやりたくなっちゃうんです。以前に(甲本)ヒロトさんが、〈クラッシュは絶えず変化しながらも、常に『憧れに手が届かない』みたいな作品を作ってきた。そこが良いんだよね〉といったことを言っていて、僕もそこがカッコいいと思う。このバンドもそういう存在でいたいですね」(アタル)。
ハシリコミーズ:アタル(ギター/ヴォーカル)、あおい(ベース)、さわ(ドラムス)から成る3人組バンド。2019年に東京で結成。このたび“悪いようなことばかり”を配信リリースしたばかり。