KAKUBARHYTHMにとって久しぶりの新人バンドとして話題を集めているのが、2022年に結成されて横浜を拠点に活動している5人組、Ålborg(オールボー)。フォーキーさのなかにプログレッシヴな音楽性を垣間見せる彼らが、このたび“Memory”を配信リリース……ということで、bounce初登場となるメール・インタヴューを行いました。
「Yokohama B.B.streetというライヴハウスで出会い、いつの間にか5人で演奏していました。メンバーが共通して好きな音楽はビートルズ、ベル&セバスチャン、ビッグ・シーフ、アウスゲイルなどです」(以下、回答はメンバー全員の言葉をまとめたもの)。
穏やかな歌心と、アコースティック楽器の柔らかな鳴りを活かしたアンサンブルを中心に据え、どこか孤高の美意識が貫かれているかのようなÅlborgのサウンドや佇まいは、いま挙げてくれたアーティストに重なるものがあります。KAKUBARHYTHMのカラーにも合っている印象ですが、リリースはどういう経緯で決まったのでしょうか。
「角張(渉: KAKUBARHYTHM代表)さんが、ある日突然、ÅlborgのTwitterアカウントをフォローしてくれたので、メンバーみんなで驚きました(笑)。そのあと、下北沢のライヴハウスへ出演させていただいた際に角張さんから声を掛けてもらい、話しているうちにリリースできることになりました」。
“Memory”は、今年7月に7インチでリリースされた『Change / Memory』のBサイド。どっしりとしていて力強いドラムとザラザラした手触りのギターがエモを感じさせる“Change”、ブリティッシュ・フォークを思わせる神秘的なムードが漂う“Memory”という7インチ収録の2曲は、それぞれ歌心に溢れつつ、細やかで工夫の凝らされた演奏とサイケデリックな音が聴き手を引き込みます。
「7インチに収録した2曲の制作時には、フォーク・ミュージックを中心にたくさんの音楽を聴きました。いま振り返ると、〈Ålborgの芯の部分はフォークなんだ〉と理解するのに必要な時間だったと思います。“Change”は、変化が必要だと理解しつつ、それを受け入れるのを少し怖く感じる瞬間、“Memory”は思い出に触れ、過去の時間が取り戻せないものであると気付くことを歌っています」。
ふとした瞬間に感じる怯えや喪失を掬いあげて、温かくも聴き手の胸に刺さる歌へと昇華させるÅlborg。そんな彼らの夢は?
「私たちのバンド名はデンマークにある都市の名前です。いつかみんなでオールボーに行って、演奏できたらいいなと思っています」。
Ålborg(オールボー):Miya(ヴォーカル/ギター)、くぬぎみなと(ギター)、かまたたつや(ベース)、安田くるみ(トロンボーン)、岩方禄郎(ドラムス)の5人組。2022年に結成。今年6月に7インチ『Change / Memory』をKAKUBARHYTHMより発表。このたび“Memory”を配信したばかり。