ザ・ジャムのリック・バックラーが死去した。69歳だった。

この訃報は、ザ・ジャムとして活動を共にしたポール・ウェラーのXを通じて発表された。同じくザ・ジャムのブルース・フォクストンもウェラーのXを介してコメントを寄せている。なお、詳しい死因などについて現時点では明かされていない。

ウェラーはXにて、「スタンリーロードにある僕の寝室でみんなでリハーサルをしていた頃を思い出す。子どもの頃にパブやクラブで演奏し、最終的にはレコードを作るまでになった。なんて旅だったんだろう!」とバックラーとの思い出を振り返り、フォクストンも「(リックは)いいヤツで、素晴らしいドラマーだった。彼の革新的なドラムパターンは僕らの曲を形作るのに必要だった。こんなにも一緒に仕事ができたことを嬉しく思う」と追悼のメッセージを寄せている。

リック・バックラーは、ザ・ジャムのドラムスとして1972年の結成から1982年の解散まで在籍した。

1977年、ザ・ジャムはポリドールと契約しシングル“In The City”でデビューを果たす。同年には1stアルバム『In The City』、2ndアルバム『This Is The Modern World』を発表。翌年には3rdアルバム『All Mod Cons』をリリースし、モッズリバイバルの象徴として高く評価された。

ザ・ジャム解散後、ウェラーはスタイル・カウンシル、フォクストンも短いソロ活動を経てカスバ・クラブを結成。バックラーもフォクストンとともにザ・ジャムの楽曲をメインに演奏するバンド、フロム・ザ・ジャムのメンバーとして活動し、ドラマーとして活躍し続けた。

パンクやニューウェーブの影響を強く受けながら、ウェラーを筆頭にR&B、ソウルなどのエッセンスを加えることで、伝統的かつ革新的な音楽性を見出したザ・ジャム。バックラーの直線的でありながら歌心のあるビートがあったからこそ、彼らの楽曲は世界中のリスナーの心に刺さったと言えるだろう。

ウェラーがXで「僕らは夢のはるか彼方まで行けたし、僕らが作り出したものは時を超えていく」とコメントしているとおり、バックラーが刻んだビートとリズムはこれからも多くのリスナー、プレイヤーに影響を与え続けていくはずだ。