ここ最近、どうしようもないけれど悔しいと思っていること。基本土日休みが無い仕事柄、行きたいライヴのチケットが取れないことだ。以前、その日仕事が休みであることに賭けて、数か月先のK-Popアイドルのライヴに申し込んでしまい、1万3000円を水の泡にしてしまったことがある。それ以来、後先考えずにチケットを取ることをやめた。

 スケジュールがわからないのに、その1日を捧げることを決断できる勇気。遥か未来に設定された好きなバンドのライヴのチケット販売画面を見つめながら、私たちのライヴを観に来てくれている皆さんには改めて感謝の気持ちでいっぱいだし、逆にその日に向かってがんばれる希望となれるような1日をこれからも作っていけたらいいなと思った。

 SNSで、良い感じのイベントのフライヤーを見つけては、まず日付を確認。そして自分のスケジュールと見比べては諦める。たびたび歯痒い思いになる毎日だったが、先日、ついに個人的にアツいラインナップが出演する対バンライヴを急遽観に行けることになった。下北沢の2つの会場を往来する形のイベントで、緊張しながらも心躍る気持ちで、久々に地下のライヴハウスの扉を開けた。

ルサンチマン 『ひと声の化石 / rebury』 Blue echo(2023)

 その日いちばん印象的だったのはルサンチマンというバンドだった。以前から気になっていて、好きな曲は何曲かあったけれど、実際にライヴを観たことはなかった。

 まず、ギターのリフに釘付けになった。素人目に観ても、超絶技巧という言葉が浮かんできたほどだった。たまにフロアのほうに乗り出して演奏をする時に緩急が生まれ、ライヴハウス中の空気を掌握していた。

 そして、日常的な喜怒哀楽を、アグレッシヴだけれど優しさもある声で歌うヴォーカルも然り、すべての要素がガッチリと噛み合った、終始キラキラした音楽に浸っていた。そして最後に、歌のないインスト曲を1曲演奏して捌けていった。知ってる曲は1曲もセットリストになかったのに、あっという間で圧巻の30分間だった。帰り道、“なさけないうた”を繰り返し聴いていた。次、ライヴを観に行けるのはいつになるだろうか。

 


【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolでは現体制での初作『DAY 2』(ビクター)に続き、“dance”が配信中。2月から4月にかけては3か月連続で対バン企画〈MY DATE〉が開催されます。それ以降の最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!