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ハードエッジでクセ者、短命ながらインパクト大なプロトパンクバンドたち

ブルー・オイスター・カルト『Tyranny And Mutation』(1973年)

BLUE OYSTER CULT 『Tyranny And Mutation』 Columbia(1973)

NYのロングアイランドで結成されたブルー・オイスター・カルト。アリス・クーパー同様に元祖ヘヴィメタルとして語られがちなのでパンクファンは敬遠するかもしれないが、セカンドアルバムの『Tyranny And Mutation』は騙されたと思って聴いてほしい。オカルティズムな狂気漂うアートワークにも痺れるけれど、デトロイト勢の影響をちらつかせるハードエッジなロックンロールが満載なのだ。なにより衝撃的なのはハードコアと見紛うばかりの激ファストチューン“The Red & The Black”。この1曲だけでも〈買い〉である。

 

ピンク・フェアリーズ『Kings Of Oblivion』(1973年)

PINK FAIRIES 『Kings Of Oblivion』 Polydor(1973)

同時代のイギリスはというと、ロンドン西部のラドブルック・グローヴ周辺で暗躍していたアンダーグラウンドな連中たちはその多くがパンクなアティチュードを持っていた。デヴィアンツやホークウインドなど相当なクセ者揃いの界隈だが、中でもピンク・フェアリーズはそのファンシーな名前とは裏腹に最もパンキーなバンドと言えるだろう。のちにヘンリー・ロリンズ率いるロリンズ・バンドがカバーした”Do It”をはじめアグレッシブな曲はどれも魅力的だが、アルバムで推すならば“City Kids”や“Raceway”などのプレパンクチューンを収録した3作目の『Kings Of Oblivion』だろうか。ここで激烈なギターを弾いているラリー・ウォレスはその後、ホークウインドを脱退したレミー・キルミスターに誘われてモーターヘッドの初代ギタリストを務めるのだった(すぐ辞めるけど)。

 

クラッシュド・バトラー『Uncrushed』(1998年)

CRUSHED BUTLER 『Uncrushed』 Dig The Fuzz(1998)

1969年にロンドンで結成された3人組のクラッシュド・バトラーは、早すぎたUKパンクという意味ではピンク・フェアリーズすら凌ぐ存在かも。ヤケクソめいた粗暴な演奏と、どことなくジョニー・ロットンを思わせるナスティーなボーカル。最初期のナンバー“It’s My Life”の性急すぎるビート感はとても1969年産とは思えない。しかし活動時には公式音源を発表することなく1971年に解散。メンバーはその後ハマースミス・ゴリラズ(のちにゴリラズに改名)を組んで、70sパンクの名レーベル、ロウ・レコーズからアルバムまでリリースしている(でも音的にはクラッシュド・バトラーのほうがパンクだけど)。

 


PROFILE: 北爪啓之
1972年生まれ。1999年にタワーレコード入社、2020年に退社するまで洋楽バイヤーとして、主にリイシューやはじっこの方のロックを担当。2016年、渋谷店内にオープンしたショップインショップ〈パイドパイパーハウス〉の立ち上げ時から運営スタッフとして従事。またbounce誌ではレビュー執筆のほか、〈ロック!年の差なんて〉〈ろっくおん!〉などの長期連載に携わった。現在は地元の群馬と東京を行ったり来たりしつつ、音楽ライターとして活動している。NHKラジオ第一「ふんわり」木曜日の構成スタッフ。