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多彩な表現と高い集中力で幅を広げたソロパフォーマンス

先にも書いたように、1stの〈Solo Stage〉は弾き語りを中心にしながらリラックス&チルなモードでゆったりやるのかと思っていた人は多かったはずだ。が、そうじゃなかった。述べてきた通り、アコギ弾き語り、歌&アコギ+アコギ、歌&エレキ+アコギ、歌+ピアノ、歌とループマシーン、ギター弾き語り+サックス、歌+ギター+サックス、ピアノ弾き語りと、アコースティックの括りがあるなかでもその曲に最も相応しい形を考えてXinUは進めていった。だからリラックス&チルどころじゃなく、彼女の曲への入り込み方、集中の度合いが凄かった。聴き手としては、アコギ弾き語りで曲の聴こえ方がこんなに変わるんだ、歌とループマシーンひとつでこんなに曲が広がるんだ、ピアノ弾き語りはこんなにも心象風景を見せてくれるんだ、といった発見も多々あった。このステージでのこうしたチャレンジがこれからのXinUの表現の幅をさらに広げ、未来のライブや楽曲へとつながっていく。そう思った。

〈一人きりだから、できることは限られると私も最初思っていた。 現時点でできることの外へ飛び出してみたら自分の知らない自分が広がっていてあのようなSolo setデビューとなりました〉。

ライブの数日後、XinUはXにそうポストした。あの1stステージはXinUにとって、〈自分の知らない自分〉と出会う場所にもなったのだ。

 

ブラスが曲を華やかに彩り、ジャズアレンジも聴かせた2ndステージ

1stステージについて長く書いてしまったので、2ndステージは特に印象的だった場面についてのみ振り返っていくとしよう。2ndステージは〈XinU Collective Stage〉ということで、コレクティブの成員の何人かと一緒に届けるバンドセットだ。メンバーは、庄司陽太(ギター)、熊代崇人(ベース)、武藤勇樹(鍵盤)、大津惇(ドラムス)、海野あゆみ(サックス)、桑田亜季(トランペット)。庄司、武藤、海野の3人は1stステージに引き続いての登板となった。

いつものバンドセットと違うのは、サックスの海野あゆみに加えてトランペットの桑田亜季が初参加し、そのブラスセクションが多くの曲を華やかに彩っていたこと。2曲目“触れる唇”も3曲目“昼夜酩酊”もブラスが入ったことで音源に負けじと夏っぽさが表出していたし、ライブの後半にもブラスを活かしたアレンジが施された曲がいくつもあった。

5曲目“ロマンス”は武藤の麗しいピアノから始まり、XinUのボーカルも説得力を持って響いた。1stステージと同じようにこの曲でシャンデリアがゆっくりと降りてきて、間奏の武藤のピアノソロを際立たせた。ピアノと歌は寄り添い合うように互いを引き立てていた。続く6曲目“愛おしいままで”も武藤のピアノソロで始まり、XinUのボーカルとピアノ音の相性の良さを感じさせた。この曲は途中から大津のビートが入って、力強く展開していった。

7曲目“合図 EYES 合図”は音源ともこれまでのライブのそれとも大きくアレンジを変えていて嬉しい驚きがあった。スウィングジャズナンバーとして生まれ変わっていたのだ。海野と桑田の厚みあるブラスが最大限に活き、間奏の武藤のピアノソロは音が躍るよう。大津は国内外のジャズ/R&Bのトップミュージシャンたちと共演を重ねてきたジャズドラマーである故、このアレンジでのプレイは得意とするところなのだろう、その強力なドラムソロがオーディエンスの気持ちを昂らせた。そのようにミュージシャンたちのスキルが輝いていたジャムセッション的な間奏を受けて、XinUのボーカルも心地よい揺れを見せていた。

 

すべてを出し切り、充足した最高の笑顔で終幕

続いての8曲目“鼓動”は、1stステージのそれとは打って変わってファンキーなアレンジが施されていた。庄司のギターリフは70sのニューソウル的。間奏ではギターソロ→トランペットソロ→ベースソロといったふうにそれぞれのプレイにスポットを当て、曲の後半ではXinUがステージの端まで歩いてシンガロングを促した。

ラヴァーズロックにアレンジされた9曲目“揺らせ”は夏を誘うような心地よさがあった。そして10曲目はこの日唯一のカバー。「今日はホワイトデーなので、ラブソングを」と言ってスティーヴィー・ワンダーの名曲“Ribbon In The Sky”を披露した。海野のソプラノサックスがこの曲のラブなムードを一層高め、それによってXinUの歌も熱が増した。

終盤では、本編最後の“とけてゆく”が派手な盛り上がりを見せた。「最後の曲!  みんな立てますか?!」と観客を煽り、観客みんなが立ち上がってカラダを揺らすなか、その曲はブラスの効果もあっていつも以上に躍動感のあるものに。何度もステージの端まで動いて歌うXinU。間奏は大津がサンバのようなリズムを叩き、観客みんなが手拍子を強く打ち、さながらカーニバルのような雰囲気に。そしてアンコールではミュージシャンたちみんなのソロを順にしっかり聴かせつつ、“オモイオモワレ”を歌って締めた。最高の笑顔を見せてステージをおりるXinU。「出し切った!」という充足感がその笑顔から伝わってきた。

1stと2ndの両ステージともに新たな試みがたくさんあった〈XinU “From One to Collective” at Billboard Live〉。「始めるときはどうなるかなんてわからないけど、とにかく始めるっていう、そんな精神でいつもいろんなことをやっています」とも話していたXinUの、ここからの展開に思い切り期待したい。

 


SETLIST
1st stage: XinU Solo Stage
1. 余裕綽々
2. もうやだ
3. Kiss Kiss Kiss
4. オモイオモワレ
5. 罠
6. バタフライ
7. 昼夜酩酊
8. 触れる唇
9. ロマンス
10. 愛おしいままで
11. まだまだ
12. つながっていて
13. 合図 EYES 合図
14. 鼓動

ENCORE
15. また会いに行くから

2nd stage: XinU Collective Stage
1. Kiss Kiss Kiss
2. 触れる唇
3. 昼夜酩酊
4. バタフライ
5. ロマンス
6. 愛おしいままで
7. 合図 EYES 合図
8. 鼓動
9. 揺らせ
10. Ribbon In The Sky(カバー)
11. つながっていて
12. また会いに行くから
13. とけてゆく
14. オモイオモワレ

 


RELEASE INFORMATION

XinU 『また会いに行くから』 Co.lity Music(2025)

リリース日:2025年3月19日(水)
配信リンク:https://virginmusic.lnk.to/Mataaini

TRACKLIST
1. また会いに行くから(Verse Extended)feat. maco marets
2. また会いに行くから

 

LIVE INFORMATION
Neon Oasis Fest. 2025

2025年4月19日(土)、20日(日)台湾・台北華中露営場
出演:XinU/Original Love/Akasaki/DJ Rinoka/She Her Her Hers
※XinUは4月19日に出演

 


PROFILE: XinU
ミュージックコレクティブ〈XinU〉。あなた〈U〉にクロス〈X〉するをキーワードに、Tokyoで鳴っているサウンドと自然体でありながらも核心をついた日本語詞で〈今〉を切り取っていく。透明感がありながらもスモーキーな歌声とR&B、ジャズ、ヒップホップ、フォークロアを飲み込む新たなサウンドでボーダレスに音楽の未来を切り開いていく。2021年に“ココカラ”でデビュー。2作のEPのリリースを経て2023 年5月31日に1stフルアルバム『XinU』をリリース。プロデューサーにサウスロンドンのエドブラックやmabanuaらを迎えて制作された。mabanuaプロデュースによるリード曲“いつのまにか”が全国13のラジオ局のパワープレイに選出され、J-WAVEやFM NORTH WAVEで上位にチャーイン。6月に代官山UNIT、11月に渋谷WWWでのワンマン公演をソールドアウトさせた。2024年6月26日に3rd EP『XinU EP #03』をリリース。福岡、東京、台北、桐生にてワンマンライブツアーを開催。すべての公演がソールドアウトし、初の海外ワンマンライブである台北公演にはSNSをきっかけにXinUを知った地元のファンが詰め掛け、国境を越えてアジアでもXinUの音楽が拡がりをみせている。12月4日に2ndアルバム『A.O.R - Adult Oriented Romance』をリリース、12月20日に福岡ROOMS 、12月26日に恵比寿LIQUIDROOMでアルバムリリース記念ワンマンライブを開催。2025年1月5日には2度目となる台北でのワンマンライブを開催、アジアでの人気も急上昇中。
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