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クールス『~黒のロックンロール~ クールスの世界』(1975年)

クールス 『~黒のロックン ロール~ クールスの世界』 キング(1975)

過半の作曲をジョニー大倉と五大洋光(矢沢永吉)が手掛けているため、ポスト・キャロルの雰囲気も感じられるファーストアルバム。プロデューサーもジョニーになっているが、実質的なサウンドプロデュースを一身に担ったのは近田春夫で、音楽スキルがまだ未熟だったバンドを陰でがっつりと支えている。矢沢作曲のデビューシングルで舘のとっぽいボーカルが眩しい“紫のハイウェイ”、ジョニー作曲のダンスナンバー“あの娘はステディガール”、近田の作詞作曲でのちにハルヲフォンでもセルフカバーした“シンデレラ”など、初々しくも痛快なロックンロールが聴ける。

 

クールス『ロックン・ロール・エンジェルス』(1976年)

クールス 『ロックン・ロール・エンジェルス』 キング(1976)

キャロルが初期ビートルズを手本にしていたことは有名だが、クールスはアメリカンオールディーズ志向だったため、音楽性はむしろアメリカのシャ・ナ・ナに近かった(のちに共演)。それを端的に示したのが、リトル・リチャードやジーン・ヴィンセント、エルヴィス・プレスリーらの有名曲カバーを収録したこのセカンドアルバムだろう。

けれど本作の真の聴きどころはジェームス藤木の作曲センスが開花した“バースデイ”や“恋のおわり”などのオリジナル曲にこそある。とくにムラこと村山一海(ボーカル)のファルセットが印象的な“Mr.ハーレー・ダビッドソン”は初期を代表する名曲。

クールスの不良的なパブリックイメージは良くも悪くもこのキング時代に固定されてしまった感があるが、本作ではのちの〈優れたポップバンド〉としての萌芽が垣間見れる。

 

クールス・ロカビリー・クラブ『クールス・ロカビリー・クラブ』(1977年)

クールス 『クールス・ロカビリー・クラブ』 トリオ(1977)

俳優への道を目指した舘ひろしが脱退後、バンドはトリオ・レコードへと移籍。名称も〈クールス・ロカビリー・クラブ〉に改めて再出発したアルバム。ところが作詞作曲編曲のほぼ全てが外部ライターによるもので、ステレオタイプなオールディーズ歌謡風ナンバーが目立つ。

私的にも妙にパッとしない印象の一枚だったのだけど、じつはクールスのオリジナル曲はボツにされ、演奏もスタジオミュージシャンによるメーカー主導作だったという話を後から聞いてようやく腑に落ちた。

伊藤銀次が提供した儚いロッカバラード“TEENAGE GIRL”や、ジャズスタンダードをレゲエ調にアレンジした“MACK THE KNIFE”など興味深い曲もあるだけに惜しい。

 

クールス・ロカビリー・クラブ『ビー・ア・グッド・ボーイ』(1977年)

クールス 『ビー・ア・グッド・ボーイ』 トリオ(1977)

前作から半年足らずでリリースされているが、打って変わってプロデュースをバンド自身と彼らの良き理解者である近田春夫が手掛けているばかりか、全ての作曲をジェームスが受け持った革新的なアルバムで、現在までに繋がるクールスの礎を築いた重要作。

最大の特徴は初期には希薄だった黒人音楽の要素が顕在化してきたことで、“LET’S GO TO THE CHARITY”、“QUTY SUE”、“LAST WEEKEND”におけるドゥーワップ調のコーラスも見事だし、よりアーバン&メロウなコーラスが艶っぽい“EVERYTIME & EVERYWHERE(とどかぬ愛)”や、同じくギターのフランクこと飯田和男が甘くソウルフルに歌い上げる“ひびわれたグラス”など、黒いテイストを孕んだ曲がじつに良い。