音楽家への取材が中心になっているMikikiですが、作家や写真家、映像作家、漫画家、演劇関係者など、関わってもらう方は多種多様。そこで、音楽家以外の表現者のみなさんが好きな音楽は?という興味から、新連載〈My Favorite Songs〉をスタートさせました。毎回、1人の選曲者が設定したテーマと、それにもとづく3曲以上の選曲を記事化。〈あの人がこの音楽を好きだったんだ〉という発見や、音楽とほかのカルチャーとのクロスオーバーを楽しんでもらえたら幸いです。第2回には、演劇ユニット・ウンゲツィーファの劇作家である本橋龍さんが登場。 *Mikiki編集部
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選曲によせて
初めまして。演劇をやってます、本橋龍と申します。
日常生活の中で、〈これは物語の最中なのでは〉と思う瞬間があります。
〈現実脱出〉と呼んでいます。
その時、頭の中には音楽がなっています。
私を一時だけ、物語の主人公にさせてくれる曲たち。
坂口恭平 ”月の歌”
(2018年作『アポロン』収録)
存在そのものが現実脱出な坂口さん。躁鬱人である坂口さんの音楽はどの曲も〈世界からの祝福〉のようなニュアンスがある気がしてます。
“月の歌”は、北海道での旅公演の最後の夜に、一人山の中、札幌の夜景を見降ろしながら聞きました。〈すべてのたましい すべての時間 今宵はすべてを祝いましょう 静かな夜の帰り道〉という部分で嗚咽を漏らしながら泣いたのを覚えています。
〈立ち行かないな、でも、がんばろう。〉って思いました。
松井文 ”いつになったら”
(2017年作『顔』収録曲)
どこまでも正直な歌声が耳に焼き付く松井さんの音楽。
〈何処へ行っても 誰といても この寂しさは なんだろうか いつか解る日がくるのか いつになったら〉という歌詞が折に触れて頭に流れます。自嘲気味に。しかししっかりと世界を眼差して。また歩き始める。そんな時に。
MVも素晴らしい。正直な顔たち。
石指拓朗 ”朝”
(2015年作『緑町』収録曲)
〈労働者の歌〉を歌い続ける石指さんはみんなの兄貴。日々に疲れたら、ちょっと立ち止まって石指さんの曲を聴きます。〈こんなはずじゃなかったなんて 言わないでいておくれよ〉という歌詞はいつ聞いても涙ぐんでしまいます。〈おくれよ〉というところがたまらない。切実な頼みとして。私の人生に、あなたの人生に、無駄はないって。一緒に思おうよって諭してくれる。そんな友達がこの曲なんです。
INFORMATION
演劇公演「湿ったインテリア」
劇団公式サイト:https://ungeziefer.site/dampinteriors/
脚本・演出:本橋龍
出演:黒澤多生/豊島晴香/根本江理/藤家矢麻刀/松田弘子
会場:早稲田小劇場どらま館 https://www.waseda.jp/culture/dramakan/access
■日程(全12回公演)
2025年5月19日(月)19:30~ ※満席
2025年5月20日(火)14:00~ ※満席/19:30~ ※満席
2025年5月21日(水)14:00~* ※満席/19:30~ ※満席
2025年5月22日(木)休演日
2025年5月23日(金)19:30~
2025年5月24日(土)14:00~/19:00~*
2025年5月25日(日)14:00~/19:00~* ※満席
2025年5月26日(月)19:30~
2025年5月27日(火)14:00~*
※上演時間約100〜110分を予定。*の回は上演後にアフタートーク有り
※受付開始、開場は各回開演の30分前になります
■キャッチコピー
〈親の泣き顔が幼かった〉
■あらすじ
出産を控えた夫婦、チアとジュウタはマンションの一室に内見に訪れた。案内をする不動産屋のタクはチアの大学時代の恋人だった。2人は部屋を決めることにした。
半年後、部屋では赤ちゃんがけたたましく泣いている。チアと共に面倒を見ているのはジュウタではなくタクだった。
タクは子供に愛情を持ち切れず、チアとの関係もぎくしゃくしていく。そんな中、タクの母・タナコが遠方から孫との初対面の為に訪れる。自分の余生に絶望感を抱いていたタナコにとって孫は希望の光であった。
タナコが赤ちゃんと留守番している時にカキエという婦人が訪ねてくる。カキエはジュウタの母親だった。
過去と現在、愛と執着、親と子――2LDKの中でドロドロと混ざりあって……
ウンゲが送る昼メロ的ネオ愛憎劇。
■チケット
【予約(事前入金)】
前半(2025年5月19日(月)〜2025年5月21日(水)):3,200円
後半(2025年5月23日(金)〜2025年5月27日(火)):4,200円
学割:2,500円(前半・後半一律料金) ※事前入金のみ
支援:8,000円(前半・後半一律料金) ※事前入金のみ ※先着15名のみ。観劇+特典付き応援チケット
特典①『湿ったインテリア』試演会ご招待(2025年5月16日(金)夕方頃予定)
特典②『湿ったインテリア』上演台本
特典③ウンゲツィーファ公式ステッカー ※試演会のご案内は別途メールにてご連絡いたします。
事前入金フォーム:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/020jdvk2s2a41.html
【予約(当日清算)】
前半(2025年5月19日(月)〜2025年5月21日(水)):3,300円
後半(2025年5月23日(金)〜2025年5月27日(火)):4,300円
当日清算フォーム:https://torioki.confetti-web.com/form/3855
【当日券(予約なし)】
前半・後半:4,700円(前半・後半一律料金)
学割:2,900円(前半・後半一律料金)
■注意事項
※公演が中止となった場合を除き、払い戻しや他公演への振替対応はできかねます。あらかじめご了承のうえ、お申し込みください
※学割をご利用の方は、入場時に学生証のご提示をお願いいたします
※当日精算でのご予約をキャンセルされる場合、キャンセル料が発生することがございます。詳細はチケット予約サイトにてご確認ください
※感染症対策の影響により、公演情報が急遽変更となる場合がございます。最新情報は公式サイトやSNSをご確認ください
■スタッフ
脚本・演出:本橋龍
音楽:浜間空洞
美術:小駒豪
照明:渡邉結衣
音響:大嵜逸生
舞台監督:黒澤多生
演出助手:小島淳之介
宣伝美術:一野篤
絵:山口洋佑
制作:中條玲/山中美幸
映像:ニュービデオシステム
協力:くによし組/小骨座、青年団/点と/にもじ/バストリオ/みちばたカナブン/レトル/早稲田小劇場どらま館
企画・製作:ウンゲツィーファ
■お問い合わせ
メール:ungeziefer23@gmail.com
公式サイト:https://ungeziefer.site/
PROFILE: ウンゲツィーファ
劇作家・本橋龍を中心に活動する演劇ユニット。2024年で活動10周年を迎える。リアルな日常描写と潜在意識にある幻象を、ひとつの舞台空間で重ね合わせ、複数のシーンやキャラクターが交錯することで、新たな景色や感情を生み出していく〈撹拌(かくはん)される会話劇〉として独自の作風を確立。代表作「動く物」が平成29年度北海道戯曲賞大賞を受賞し、以降も2年連続で優秀賞を受賞。緻密な脚本と没入感のある演出で小劇場ならではの濃密な演劇体験を通じ、観客を〈ここじゃないどこか〉へと誘う。