未来への希望
G.RINAとDongxin Rez(東進レゾナント)が手掛けた“MOVE ON”は、ブラック・ボックスやビヨンセの某曲がリファレンスにあったというのも頷ける王道90sハウス。「僕はハウスが好きで、DJの時もよくかけるし、自分でもそういう曲を作りがちなので、デモを聴いた瞬間〈これは僕の曲だ!〉って思いました(笑)。いままでになく艶やかな部分が出ていて、ステージ上では踊り歌い乱れています」とはmalikの弁。そしてラテンっぽい先行曲“dance”と同じくBBY NABE × R.I.K.製の、ポップでパンクなエモ・ラップ曲“4EVER YOUNG”では、tmrwやryuyaらやんちゃな男性陣に交じって、hanaがいつも以上に弾けたフロウをキックしている。
hana「普段はあまり声を張り上げない私にとって、自分の感情をさらけ出せるのがこの曲で。〈ふざけんな〉とか強めな言葉がたくさん入っているんですけど、私もイライラすることがあったらそういう曲を聴いて自分を鼓舞することが多くて。リリスクの活動でこういう自分の一面を出せるのは発見でした」
さらに本作の〈青春〉というテーマを強調するのが、リリスクではお馴染み大久保潤也(アナ)× 上田修平コンビによる“GIZMO”と“朝の光”の2曲だ。minanのドリーミーな歌声と轟音ギターが折り重なるなか、〈ポケットに teenage riot〉とうそぶきながら青い時間を駆け抜けていく前者、スウィート・ソウルのように優美かつ洗練されたグルーヴに乗せて、クラブで迎える夜明けの時間と過ぎ行く青春の刹那を謳歌する後者。それぞれEPの始まりと終わり(リミックス曲を除く)に置くことで、ひとつのストーリー、8人の青春が浮かび上がる構図になっている。
malik「“GIZMO”はレコーディングの時に、大久保さんが〈ヴァースのところは部屋で1人で歌っている感じで、サビはみんなでステージに立って歌う感じにしてほしい〉と言われて。それってめちゃくちゃ素敵だと思ったんですよね。僕たちメンバーも、それぞれ別のことをやっていた人たちが、いまはひとつの目的のもとリリスクに集まって、やりたいことを全力で挑戦していて。大人だけど青春できる場所を与えてもらっているのかも、と思う時があります」
mana「“朝の光”では私が最初のヴァースを任されたんですけど、『DAY2』の頃だったらできなかったような、力を抜いた歌い方ができて、自分の新たな境地を出すことができました。あと、大久保さんがhanaのヴァースにある〈大人ぶってるうちに忘れちまう この夜の匂いとか気持ちは〉がこの曲でいちばん大事って話をしてて」
hana「そう、この部分が大事だから感情を込めて歌うように言われました。“GIZMO”と“朝の光”は伝えたいメッセージが似ていると思うんですけど、“GIZMO”がちょっとエモい気持ちになる曲だとしたら、“朝の光”は〈まあ大人になっちゃったけど、進むしかないか〉みたいな、未来への希望みたいなものをより感じて」
malik「わかる。初めて聴いた時、hanaのヴァースで泣いたから(笑)。僕も実際に〈大人ぶってるうちに忘れちまう〉なあと思ったんですよ。でも、青春って振り返った時にそこにあるもので、自分もいつかこのたくさんライヴしている日々を思い出した時に、青春を感じるんだろうなって、この曲を聴いた特にすごく思って。きっとこのEPを聴いてくれる人にも、そういう気持ちを思い出してもらえるきっかけになるんじゃないかなって思います」
ライフ・ゴーズ・オン。時間は戻すことができないし、楽しい日々が終わりを迎えたとしても、人生は続いていく。だからこそ、いまこの瞬間にしか味わえない、リリスクとのパーティーを全力で楽しもうではないか。
左から、lyrical schoolの2023年のEP『NEW WORLD e.p.』、2024年のフル・アルバム『DAY 2』、G.RINAの2021年作『Tolerance』(すべてビクター)