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6人の狂騒的な個性が溢れ出た“Re-Make/Re-Model”

その前に、そもそもポストパンクの音楽的な特徴とは何なのか? AIやネット情報をもとにまとめてみると、おおよそ次のような感じになった。

1970年代後半から1980年代初頭にかけて、パンクロックのエネルギーとDIY精神を引き継ぎつつ、より実験的で芸術志向の音楽へと進化したジャンル

①実験的で脱構築的なサウンド
②反復するタイトなリズム
③メロディーよりリズムを強調し、カッティングやノイズを多用したギター
④類型に拘らない非伝統的なボーカルスタイル
⑤内省的、文学的な歌詞

では上記の特徴を踏まえながら“Re-Make/Re-Model”を聴いてみよう。パーティー会場らしき賑やかな喧噪のサウンドエフェクトで幕を開けるが、不意にピアノのリフが鳴らされて、そのまま一気に狂騒的なバンド演奏へとなだれ込んでいく序盤からしてケレン味たっぷり。

ドタバタする直線的な8ビートを力強く叩き出すポール・トンプソンのドラムと、反復するモチーフを織り込みつつ前のめりにもなるグラハム・シンプソンのベース。加えてアタックが強めなフェリーのピアノという3者が作り出すグルーヴは硬質でポストパンクっぽいとも言えるが(②)、より即興的な要素も感じられる。

リズム隊の土台上では残る3者がかなり奔放な演奏を繰り広げている(①、③)。フィル・マンザネラのギターはほぼ単音だけのリフや短いフレーズを弾き倒していてじつにアグレッシブ。この尖がりまくった単音リフはワイヤーやマガジンにも通じるようなポストパンキッシュ。アンディのサックスはフリージャズのように調和よりも混沌に振り切ったスタイルで、ジェームス・チャンスの兄貴分のようでもある。イーノのシンセは言わずもがなの乱痴気なノイズを創出してサウンド全体を締めたり緩めたりしてせわしない。そして、フェリーの歌唱はやたらアッパーで感情過多、つんのめるように猥雑で胡散くさい(④)。

かくも個性的な各パートが同じ音量で一斉に突き進むようなハイテンションで曲は進行していくが、後半のブレイクでは全メンバーが短いソロ回しを展開。ベースがザ・ビートルズの“Day Tripper"、サックスがワーグナーの“ワルキューレの騎行”、ギターがヘンリー・マンシーニの“Peter Gunn"という、それぞれ異なるジャンルの楽曲のフレーズを弾いている。ここでは既存の音楽を取り込んでその解体と再構築を企てているように思える(①)。

終盤では演奏がまるで電池切れのように次第にペースダウンしていき、最後はシンセが間抜けな電子音を巻き散らかしてお開きとなる。

なお、歌詞は抽象的なラブソングだが、〈最高の美人を見かけたけど何も出来なかった〉という内容は自己批判的でもある。ただ、それ以上にインパクトがあるのが〈CPL593H〉という変なフレーズをひたすら繰り返すコーラス。じつはフェリーが実際に見た女が乗っていた車のナンバープレートらしいが、この無意味な記号性はポップアートのようでもある(⑤)。