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大胆なアレンジや名曲カバーで自ら楽しむXinUバンドセット

この日の最後を飾るのはXinUのバンドセットだ。バンドメンバーは、庄司陽太(ギター)、熊代崇人(ベース)、武藤勇樹(キーボード)、大津惇(ドラムス)、小笠原涼(サックス)。波の音に続いて始まった演奏は、ちょっと意外な印象を与えるものだった。庄司のギターのカッティングはレゲエのそれで、大津のドラム音の深い響きはダブのそれ。そこに小笠原涼が南国感ありの吹奏を重ねる。XinUが歌い始めるまではなんの曲だかわからなかったが、それはラヴァーズロックふうに大胆にアレンジされた“揺らせ”だった。これまでも度々ライブでラヴァーズロックを歌ってきたXinUだが、この“揺らせ”のラヴァーズアレンジはとりわけ新鮮かつ気持ちよくて、これでヴァイナルを作ってほしいと思ったくらいだった。

「今日、めちゃめちゃ暑かったけど、来てくれてありがとう。今日みたいな暑い日をひたすら楽しめるようなセットリストを組みました。最後までいきましょう。歌える人は一緒に!」。そう言って次に歌ったのは“鼓動”。アコースティックセットでも歌われたが、ここではバンド演奏で夏感ありのグルーヴがそのまま伝わり、自然とカラダが揺れる。「お~お~お~」のシンガロングで早くもステージ上とフロアとがひとつになった。

そして間髪入れずに“触れる唇”へ。XinUの夏曲と言えばこの曲。そう思えるリリックとメロディに気持ちがあがる。XinUはステージを右から左へ、左から右へと、よく動いて歌っていた。その楽しそうな表情も印象的だった。そう、この日XinUはいつにも増して楽しそうだった。誰よりも彼女自身がこのプチフェスを楽しんでいた。それがよくわかった。

「新曲」と言って次に歌い始めたのは、まだ音源になっていない曲だ。じわじわと効いてくるミッドスロー。間奏の庄司のギターがエモーショナル。続く5曲目は“余裕綽々”だが、ここではブラジリアンっぽい新アレンジが施されていた。このように新曲があったり、お馴染みの曲でも大きくアレンジが変えられていたり。そうして毎回必ず新しい感触、味わいを与えてくれるのがXinUとバンドのライブであり、だからまた観たくもなるわけだ。

波の音が再び聴こえ、そこから庄司のギターが鳴り出した瞬間、観客の何人かが「おおっ」と声をあげた。ポップス好きなら誰もが知っているであろう有名曲のあのリフ。山下達郎の“Sparkle”だ。XinUが「拡がる」と歌えば観客も「拡がる」と続け、「世界は」と歌えば「世界は」と続ける。この真夏日にこれ以上なく相応しいカバー。間奏では小笠原のサックスソロ、続いて庄司のギターソロが火をふいた。この日一番の盛り上がりと歓声を受け、「最高!」とXinU。

次の“また会いに行くから”は軽やかなピアノで始まり、XinUは「弾む鼓動 同じリズム」を観客たちと今まさに共有していることの喜びを伝えるように歌った。その喜びは終盤の「ラ~ラ、ララララ~」のシンガロングにも繋がる。みんなが手をあげ、歌いながら横に振っていた。

続く“とけてゆく”は、3月の〈XinU “From One to Collective” at Billboard Live〉2ndステージでのアレンジが引き継がれ、曲の終盤からサンバのリズムに。大津の凄腕が光り、凄まじくも華やかなグルーヴが現出。まるでカーニバルのよう。XinUはカウベルを叩きながら歌い、バンドとオーディエンスと一体となって熱を放出した。

「ありがとう。今日がやっと辿り着いた〈Collective〉ということで、その喜びを噛みしめながら歌います」と言ってバンドセット本編の最後に歌われたのは、メジャー第1弾シングル曲“Monday to Friday”だ。アコースティックセットでも歌われたが、ここではバンドアンサンブルのよさも光って、よりカラフルに。「〈Collective〉、今回も最高の回になりました」という喜びの言葉でXinUはバンドセット本編を締めた。