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ナメんじゃねえよ

 そんなわけで、スペシャルな晴れの場となった8月11日の野音。前日の大雨に続いて昼頃までは小雨の曇天ながら、ソールドアウトとなった会場は期待と熱気で満たされていた。オープニングは初期のライヴでは鉄板だった人気曲“NIGHT NIGHT”。予想外の幕開けに大きな歓声と拍手が沸き起こる。そこから最初期の“GALILEO”、この季節に相応しい“夏”と続いて、初の武道館公演のために作られた“東京”、ひときわキャッチーな“感傷謳歌”、切実に声を震わせる“生活革命”……と、まずは無期限活動休止前の発表曲にフォーカスを当てて、PEDROの歴史と思い出を駆け足で辿っていく。よく考えるとカジュアルなTシャツ姿のアユニも往時のPEDROを思わせる佇まいで、ただ、迷いのない表情と自信に溢れたバンドとしての強度、攻撃的な轟音の中で響く歌声の逞しさは現在のPEDROならではの魅力だろう。

 短いMCを挿んでの“ラブリーベイビー”からは新生後の楽曲を軸とする現在のターンへ。めでたい日に捧げた“祝祭”、最新の配信シングル“愛愛愛愛愛”から初期の自作曲“EDGE OF NINETEEN”まで時代を往来しつつ、悩みながら楽曲を削り出してきた折々の心情が爆音となって野音の空に解放されていく。“吸って、吐いて”を披露したあたりでは細かい雨が舞うも、暗くなりはじめた会場と赤い照明のロケーションがこの場所ならではの風情を深めていった。ベースを抱えて激しく動き回る“グリーンハイツ”では、〈昔のほうが良かったですか? ナメんじゃねえよ〉と叫ぶ。それは無神経な外野の声への悔しさやフラストレーションの爆発でもあり、BiSHで初めて作詞した“本当本気”(2016年)の一節を想起させるものでもあって、メモリアルな場で過去と現在が繋がったようにも感じた人もいたかもしれない。佳境に入ったライヴはアカペラからラウドに展開していく“春夏秋冬”、シューゲイズな“雪の街”とハードな音で会場を包み、“アンチ生活”の騒やかな演奏で本編を締め括る。

 アンコールでステージに戻ってきたアユニがロゴの入ったバックドロップを引いて落とすと、その裏からはイラストの描かれた新しい幕が現れた。そしてバンドはダンサブルな新曲“1999”を快演。続く“ZAWAMEKI IN MY HEART”の冒頭では新作のリリースがさらりと告げられ、そのままアンコールで収録曲が演奏されていった。つまり、この野音は過去と現在だけでなく、PEDROの未来を見せる場であり、自主リリースで届ける新作『ちっぽけな夜明け』の全曲を初披露する場でもあったのだ。