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変わりゆく変わらぬソウル

 活動拠点を東京に戻した2000年代中期以降は、後進たちからリスペクトを受ける立場となる。若手とも積極的にコラボも行い、活動の幅も拡大。MISIAを迎えた“FLYING EASY LOVING CRAZY”、KREVAとのコラボ“M☆A☆G☆I☆C”などを含む2010年作『Timeless Fly』は、その集大成と言えるアルバム。同年には2度目の〈月9ドラマ〉主題歌となった“LOVE RAIN~恋の雨~”も生まれ、翌年にはデビュー25周年を記念して過去の曲のタイトルやフレーズを織り交ぜた“流れ星と恋の雨”でセルフ・オマージュ的なこともやるなど、前向きな回顧も見られた。

 以降、ツアーやフェスを精力的にこなしながらマイペースで作品を放っていくのが、今回の『THE BADDEST Ⅳ & Timeless Hits』のDisc-1にパッケージされた2013年以降の12年間となる。この間に発表したオリジナル・アルバムは、2015年の『L.O.K』と2019年の『Beautiful People』の2枚のみ。しかし、『THE BADDEST ~Collaboration~』(2016年)に収録されたAIとの新曲“Soul 2 Soul”など、代表曲だけで16曲あるほどの充実期でもあった。

 『L.O.K』の裏テーマだった人々への感謝を軸に、レジェンドとして前進した12年間。“Bring me up!”(2013年)や“You Go Lady”(2019年)は突進力のあるファンク系のアップでありながらヴェテランらしい余裕も漂う。しかし、根本は変わらない。“流星のサドル”の延長線上にあるアップ“Loving Power“(2015年)や“Missing“の流れを汲むバラード“その人”(2019年)などは、久保田利伸以外の何ものでもない。ロビン・シック経由でマーヴィン・ゲイにオマージュを捧げたような裏声交じりの“Free Style”やジェイムズ・ブラウンの久保田流解釈とでも言うべき“Make U Funky”(2018年)などで炸裂するソウル/R&Bへの無邪気な愛も相変わらずだ。

 80sブギー路線の“Boogie Ride ~Ride On Mix~”(2020年)も含めて、この12年は80〜90年代なアッパー感また強まっているように思える。が、一方で、自然災害やパンデミックといった厳しい時代ならではの内省を伴う曲も誕生している。コロナ禍の中で希望を見い出すバラード“空の詩~Piano after those days~”もそのひとつ。直近のシングルも、“the Beat of Life”(2024年)では自身の人生観をもとに力強く歩む様を歌い、“諸行は無常”(2025年)では試行錯誤しながら生きる人たちを鼓舞する。それでいて押し付けがましくなく、エンターテインメント性を担保しながら、さりげなく日常に密着する。憧れのスティーヴィー・ワンダーがそうであるように、久保田利伸もまた〈変わりゆく変わらぬソウル〉を歌い続けているのだ。

久保田利伸の楽曲に参加したアーティストの作品。
左から、アリソン・ウィリアムズの89年作『Raw』(Def Jam)、モス・デフを擁するブラック・スターの2022年作『No Fear Of Time』(Rhymesayers)、MISIAの2025年作『LOVE NEVER DIES』(ARIOLA JAPAN)

久保田利伸が80年代に客演や楽曲提供した作品を一部紹介。
左から、松岡直也の84年作『LONG FOR THE EAST』(ワーナー)、荻野目洋子の86年作『ラズベリーの風』、岡本舞子の86年作『fascination』(共にビクター)、中山美穂の88年作『Mind Game』(キング)

久保田利伸のコンピやベスト盤を一部紹介。
左から、2010年作『LOVE & RAIN 〜LOVE SONGS〜』、2016年作『THE BADDEST 〜Collaboration〜』(共にソニー)

久保田利伸が近年に客演や楽曲提供した作品を一部紹介。
左から、木村拓哉の2024年作『SEE YOU THERE』(ビクター)、木梨憲武の2019年作『木梨ファンク ザ・ベスト』 (ユニバーサル)、鈴木雅之の2016年作『dolce』(エピック)