宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の一説を冠した、高田漣著のSF的青春私小説。通じて〈サンプリング〉〈吉祥寺〉がキーワード。街そのものが物語の心臓部になっており、重要シーンでは井の頭公園、作中にも〈いせや〉〈まめ蔵〉や、直接的な名前は出ずとも吉祥寺の名所たちが数多く登場。勿論音楽への愛も炸裂。“あの素晴しい愛をもう一度”“Nature Boy”、父・高田渡の“コーヒーブルース”など、フォークやジャズ、YMOなど、音楽と共に生きていることを感じられ、不変と変化を地元と音楽への満ち満ちた愛に乗せて描いた作品。実際に音楽をかけてみたりして自分をこの不思議な世界に存在させてみるも良。
高田漣「街の彼方の空とおく」父・高田渡やYMOへの音楽愛と地元・吉祥寺への思いを描くSF的青春私小説
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