原雅明「アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜」が2025年9月12日に刊行された。
「アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜」は、1960年代のマイルス・デイヴィスの音楽から始まるジャズとアンビエントの関係や系譜を論じた一冊。近年、アンドレ3000やカルロス・ニーニョ、シャバカ・ハッチングスといったアーティストの諸作が〈アンビエントジャズ〉と称される傾向があるが、歴史を遡ってマイルス、ブライアン・イーノ、ECM、日本の環境音楽などを考察していく。
本書のプレスリリースには次のように書かれている。
その彼方には、魅惑的な静寂が広がっていた……
ジャズの奥深くに広がるサイレンス
かつてない斬新な観点からつづられる未来的なエチュード
新しい音楽の聴き方、そして静と動が完璧に繋がった世界
マイルス・デイヴィスが求めた静けさとは何だったのか?
アンビエントの発案者ブライアン・イーノはジャズから何を受けとったのか?
マイルスの音楽をアンビエント的観点から聴き返しつつ、イーノの音楽をジャズの角度からとらえ直すことで、今日におけるジャズとアンビエントの交差の源流を訪ねる、かつてない1冊。
さらには「静寂の次に最も美しい音」のキャッチフレーズで知られるECM、菊地雅章の忘れられたシンセサイザー作品、芦川聡や吉村弘、尾島由郎ら日本の環境音楽の開拓者たち、そして清水靖晃から高田みどりまで──
著者入魂、7年ぶりの書き下ろし
ジャズやアンビエントのファンも、ナラ・シネフロの作品など〈アンビエントのように聴けるジャズ〉の愛好家も必読の一冊だ。
BOOK INFORMATION

発売日:2025年9月12日(金)
ISBN:978-4-910511-96-2
ページ数:352頁
価格:2,640円(税込)
公式HP:https://www.ele-king.net/books/011900/
目次
intro
第1章 マイルス・デイヴィスのジャズとアンビエント
1 空間の拡張と時間の遅延──第2期クインテットにおける試行錯誤
2 エレクトリック期に試みられたトーン・ポエム/アンビエント
3 アップデートされる80年代以降のマイルス
第2章 ブライアン・イーノのアンビエントとジャズ
1 オブスキュアとギャヴィン・ブライヤーズ
2 アンビエントの誕生
3 アンビエント・シリーズの発展
4 ダニエル・ラノワの『Belladonna』とその後のイーノ
第3章 ECM もう一つのジャズとアンビエント
1 マンフレート・アイヒャーとジャン=リュック・ゴダール
2 多様なるECMの世界
第4章 日本におけるジャズと環境音楽の往還
1 菊地雅章が残した浮遊するサウンドとハーモニー
2 日本の環境音楽の開拓者たち──芦川聡、吉村弘、尾島由郎
3 清水靖晃の「質感」
4 今日まで続く高田みどりの挑戦
outro
PROFILE: 原 雅明
文筆家、選曲家。レーベルringsのプロデューサーとしてレイ・ハラカミの再発などに携わり、LAのネットラジオ局dublabの日本ブランチの設立に関わる。リスニングや環境音楽に関連する企画、ホテル等の選曲も手掛ける。早稲田大学文化構想学部非常勤講師。著書に「Jazz Thing ジャズという何か」「音楽から解き放たれるために」など。