ロバート・グラスパーやホセ・ジェイムズなど新世代によるジャズを世界的にも初めて大々的に取り上げ、昨年2月の刊行から話題となっている音楽ガイド〈Jazz The New Chapter(以下JTNC)〉シリーズ。同書とコラボしたコンピレーションCDも発表されるなど2015年以降も盛り上がりを見せるなか、第3弾「Jazz The New Chapter 3(以下JTNC3)」が9月10日(木)に発売される。
巻頭特集では、ケンドリック・ラマーとディアンジェロが刷新した〈ジャズとブラック・ミュージックの関係性〉にスポットを当て、グラスパーも参加した2015年を象徴する一枚ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』について、プロデューサーであるテラス・マーティンの独自取材も交えながらジャズ側の観点で紐解いている。「まるでジャズのセッションのようだった」とグラスパーが語るアルバム制作時のエピソードを、事細かに明かすテラス・マーティンの証言は、ケンドリック本人のインタヴュー記事も少ないだけに貴重なものといえるだろう。さらに歴史を遡り、来日公演で脚光を浴びたばかりのディアンジェロがジャズにもたらした歴史的意義についても改めて検証している。
また、9月27日(日)に開催されるジャズ・フェス〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉にも出演が決定しており、注目度を一気に高めているスナーキー・パピーとハイエイタス・カイヨーテの2組をグラスパーとともに表紙にも起用し、それぞれ複数のメンバーに取材を敢行。この独創的な2組を軸に、〈J・ディラ的なよれたリズム〉の普及によって勃興したジャズ・ミュージシャンによる新たなムーヴメントを紹介している。
★〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉関連記事はこちら
そして特別企画として、名プロデューサーの冨田ラボ(冨田恵一)を迎えた、〈今日のジャズを知るための誌上鼎談〉も収録。Mikikiでも同氏が解説したハイエイタス・カイヨーテの記事がヒットを記録し、過去にはintoxicate誌の連載「冨田ラボのNudge! Nudge!」(現在は連載終了)でマーク・ジュリアナ愛を公言してきたポップ・マエストロが、原雅明・柳樂光隆といっしょに、現代ジャズの魅力/聴きどころを饒舌に語っている。ほかにも、独自発展するUKジャズ、ラテン・ジャズからクラシック音楽とのクロスオーヴァーまで取り上げているほか、2015年現在の重要作を約200枚のディスク・ガイドで紹介。ジャズ入門にはもちろん、音楽好きへのプレゼントにもうってつけの一冊だ。