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好きなものはロックンロールだけじゃない、だからこそ広がった音楽性

――その変化がアルバムの音楽性に作用したところはなかったですか?

釘屋「1stアルバムは50年代や60年代のロックンロール、そのスタイルを踏襲するパブロック的なところに的を絞ったけど、デカかったのはカバーEPを作ったことですね。オールタイムのジャパニーズロックのなかから、スタジアムで鳴るような名曲も選んだし、その流れとライブの規模感がパーンとデカくなっていったことは比例してるので、多少は影響していると思います。

でも、あくまで流れに身を任せた自然体なんです。多くのお客さんやリスナーを獲得するために、大きな箱でも響く曲を作るために、ある種の方程式に則ってポップな曲を書く、みたいな意識はないですね。そういう職業作家的な音楽もおもしろいけど、それを暴動クラブでやっても楽しくないし、もともといろんな音楽が好きな僕らがいろんなことをやってみたっていう、ただそれだけなんですよね」

マツシマ「1stはすでにライブで仕上がっていた曲をパッケージにしようって話だったから、必然的に現場のにおいが強い作品になりました。そのぶん精密ではないというか、ミスがどうとかっていうより、感覚的にカッコよければOKって考え方でしたね」

釘屋「ライブ盤のように、そのままやった感じだったからね」

マツシマ「それに対して2ndの収録曲はほぼ最近できた曲で、なんならレコーディングの3日前に書いた曲もあって。ライブでも披露してませんし、スタジオできっちり仕上げた曲が、ライブでどう育っていくかが楽しみな作品です。今後はそういう曲が増えていくでしょうし、ライブではCD音源とぜんぜん違う感じになる可能性もあります」

 

ジャンルや形式、録音方法は手段に過ぎない

――一発録りから離れたことで、暴動クラブのシグネチャーと言えるタフネスや荒々しさが失われるかもしれないという懸念はありましたか?

城戸「私はありましたね。でも、いざやってみたらなんの問題もなかったです」

鈴木「この4人でやったら、暴動感は出るんですよね」

マツシマ「一発録りのビンテージサウンド、みたいな先入観が強いのはわかるけど、僕らの個性はそれだけじゃないし、こういうスタジオワークもできるんだぞって。そういう気持はあったかも」

釘屋「録音方法は手段でしかないからね。今の時代にロックンロールやパンクをやっている人たちも、〈この年代のこの音〉とか文脈やジャンルは細分化しているじゃないですか。そういう人たちは、手段と目的が一致していると思うんです。ただ俺たちは〈このジャンルをやりたい〉っていうのがない飽き性なので、もっと広くやりたい。(忌野)清志郎だって、フォーク期からバンド期に変わったときは音がガラッと変化しましたよね。ビートルズも、録音できるトラック数が増えたらそうなった。俺たちにとってジャンルや形式、録音方法は手段の一つに過ぎないから、〈これじゃないと〉ってこだわりはあまりないんですよね」

マツシマ「憧れる昔のロックンロールだって実はそのときの最新の音だったりもするわけで、〈今のロックバンドが今の音で録るのは普通でしょ?〉って思いますね」

――4人それぞれの音がはっきりと聞こえてくるので逆に生々しくて、〈暴動クラブってこんなバンドだったんだ〉って発見がありましたね。アルバムを作るにあたってコンセプトはありましたか?

釘屋「いろんなタイプの曲を入れたくて、候補のなかから属性やテイストが被る曲はどちらかを入れるのをやめるとか、そういう選択はありましたけど、コンセプトはなかったです」

マツシマ「いろんな曲をやるっていうのは、バンドを組んだ当初からの理念だったしね」

釘屋「同じような曲ばっかりやってたら飽きるから(笑)」

城戸「私たちはなんでもできるぜって見せたいし」