©Mats Bäcker

CD時代を代表する我らのスター・メゾ、クリスマス・ソングを歌う10年振りの来日公演!

 ストックホルムで生まれ、ロンドンで学んだメゾ・ソプラノ、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(1955-)は、1982年にハイドンの歌劇「騎士オルランド」のアルチーナ役でオペラ・デビュー(パーゼル歌劇場)を果たし、「フィガロの結婚」のケルビーノなど〈ズボン役〉で各国の一流オペラ・ハウスを席巻し、瞬く間にスター歌手となる。日本でも〈伝説〉となった、ウィーン国立歌劇場の1994年引っ越し公演におけるカルロス・クライバー指揮の「ばらの騎士」(オクタヴィアン役)で輝かしい歌声とエレガントな舞台姿を披露し、その人気を決定付けた。幅広いレパートリーを持ち、リサイタルでも世界中で活躍してきたのは言うまでもないが、やはり〈タワレコ的〉にはこれまでの40年以上にわたるキャリアの中で築き上げられた、比類なき豊潤なアルバム・カタログに注目しないわけにはいかない。もちろんオペラ/オラトリオの全曲盤や宗教曲も素晴らしいが、とりわけ『ヴォルフ&マーラー歌曲集』(1989年)や『ブラームス歌曲集』(1991年)に始まり、1993年の『グリーグ歌曲集』で早くも最初の決定的名盤を輩出してしまうソロ・アルバムの充実ぶりで(奇しくも同じメゾであるチェチーリア・バルトリと並んで)他のオペラ歌手を圧倒している。〈王道〉ドイツ・リートやクルト・ヴァイル作品からフランス歌曲にコルンゴルト、女流作曲家シャミナードや故郷スウェーデンの歌曲といった知られざる分野まで、CD時代を通じて彼女が残した名録音は数知れず。しかもエルヴィス・コステロとコラボした『フォー・ザ・スターズ』(2001年)や同郷のABBAのナンバーを集めた『ザ・ウィナー シングス・アバ』(2006年)、ジャズ・ピアノ界の雄ブラッド・メルドーとの『ラヴ・ソングス』(2011年)、歌曲とシャンソンの2枚組『Douce France』(2013年)……と、そのディスコグラフィーはジャンルを超えて拡大していったのだった。そんなフォン・オッターも今年70歳。これが最後の日本ツアーかもしれないという12月の来日公演のために彼女が選んだのはクリスマス・ソング。クラシック曲を中心としたプログラムだが、スティングがJ. S. バッハの無伴奏チェロ組曲第6番“サラバンド”をカヴァーした“You Only Cross My Mind In Winter”やスタンダード・ナンバー、99年リリースの名盤『北欧のクリスマス』冒頭を飾った讃美歌調のフォーク・ポップ・ソング“コッポンゲン”など盛り沢山。我らが〈歌姫〉10年振りのステージをしかと見届けねば!

 


LIVE INFORMATION
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター クリスマス・ソングズ

2025年12月8日(月)東京オペラシティ コンサートホール
開演:19:00

■出演
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
ファビアン・フレドリクソン(ギター)
クリストフ・ベルナー(ピアノ)

■曲目
シューベルト:冬の夕べ D938/子守歌 D498
ドビュッシー:家のない子たちのクリスマス
ペルト:クリスマスの子守歌
スウェーデン民謡:クリスマス、輝かしいクリスマス/海と岸辺の上の輝き(ベツレヘムの星)/コッポンゲン
スティング:You Only Cross My Mind in Winter ほか

https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=17120