〈MARIAH CAREY THE CELEBRATION OF MIMI〉の来日ツアーが2025年10月28日に兵庫・神戸GLION ARENA KOBE公演で幕開けした。当日のレポートが到着しているのでご紹介しよう。 *Mikiki編集部
10月28日夜、国際都市・神戸がマライア・キャリーで沸いた。日本はもちろんのこと、アジア、そして世界各国から訪れた人々が同地に集結して、彼女の7年ぶりのジャパンツアー初日に臨んだのだ。
いち早くソールドアウトとなった当日は、マライアの熱唱を軸にして、音楽監督ダニエル・ムーアを含む4名の精鋭ミュージシャン、デビュー時からの彼女の親友であるトレイ・ロレンツを含む3名のコーラス隊、ストリート感覚とインテリジェンスを合体させた8名の男性ダンサー陣が織りなす、圧巻のパフォーマンスに加えて、会場に詰め掛けた約10,000人のオーディエンスの熱気が一体となり、忘れられないホットな一夜になった。会場となったジーライオンアリーナ神戸は、2025年4月にスタートしたばかりの神戸の新名所。海にせり出した岬にそびえ立つお城のような趣のファンタスティックなスポットだ。

マライアにとって、今年=2025年は1990年のデビューから数えて35周年と、大きな節目となる年である。7年ぶりとなる今回の来日公演は、ツアー名を〈THE CELEBRATION OF MIMI〉と銘打ったように、2005年に発表した名盤『MIMI』のリリシズムから20周年を記念したコンセプトだ。言うまでもなくMIMI(ミミ)はマライアの愛称である。加えてタイムリーなニューアルバム『ヒア・フォー・イット・オール』のリリースもあり、同アルバムからのニューヒッツのお披露目も兼ねた、かなり欲張った豪華な内容になっていた。
オープニング曲は、ニューアルバムの先行ヒット“Type Dangerous”だ。どちらかと言えばクールな曲であり、パフォーマンス自体もクールな印象を受けたが、それがいいクッションとなり、続く2曲目として、マライア作品では最も景気づけにふさわしい“Emotions”が歌われると、会場は一気に大盛り上がりになった。

以後はベストオブベストのNo. 1ヒッツ/不朽の名曲のオンパレード。色んな年齢層のオーディエンスを考慮してか、初発表時のオリジナルなアレンジを意識した演奏も親切だと思った。“Emotions”を筆頭に、7オクターブ伝説健在のハイトーンのボーカルも連発されて、これぞマライア・キャリーと言うべきボーカルを満喫出来た。
ダンスパフォーマンス/DJタイムを随所に挟んだ当夜のライブは4部構成になっていて、前半の2パートはソニーとアイランド/デフ・ジャム時代のおなじみの曲がメイン。第3部に入るとその流れが変わって、まずニューアルバムからの“In Your Feelings”“Sugar Sweet”が披露された。歌詞とメロディの反復でクセになる“シュガー・スウィート”もいいが、“In Your Feelings”は新たなマライアの名曲誕生を実感させる作品であり熱唱だった。

そして、新曲2曲からリンクするパターンで、名盤『MIMI』からのナンバーが後半の2パートでたっぷりフィーチュアされた。やはり、2曲の全米No. 1ヒッツ“Don’t Forget About Us”“We Belong Together”は圧巻だった。
ワールドツアーの一環として実現した今回の日本公演は、ここ数年のマライアのライブパフォーマンスの中でもベストの内容だった。先に述べた高音部分も含めて、彼女ならではのボーカル表現が生き生きとしていたからだ。マライア・キャリーのような声を酷使するアーティストには年齢の壁もあるが、それを克服したかのような今回の熱唱は、きっと表には出てこないボイストレーニングの賜物だと思う。