渇望感を煽ったうえで投下された初作『Playin' Me』の頃とは状況も違うが、今回はもう出自についてゴチャゴチャ書かないほうが誤解を生まないかもしれない。ここ2年ほどでナイフやコーラルレイヴンらのリミックス、ディートロンとのコラボなどを経験してきた女傑のセカンド・アルバムは、UKファンキー由来のハウシーな意匠をさらに大胆に脱ぎ去り、インディーR&Bに深くアプローチしたヴォーカル主導のシンセ・ポップで全編を固めている(ので、年頭に出たEPのトラックもここにはすべて未収録)。煙の向こうを浮遊する歌唱がダビーな官能美に溶け入る成熟したムードとテーマ性のあるリリックは、アルバム単位でのリスニングを要求するかのよう。英国産らしいレゲエ感を交えたバランスも心地良い佳作だ。