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最上級にポップな存在

 2012年『Overexposed』を控えた時期にはジェシーが活動休止になるも、サポート・メンバーだったPJモートン(キーボード)が正式に加入。多数の外部コラボレーターを迎えた衒いなく最上級にコマーシャルなアルバムからは問題なくヒットが続いた。ウィズ・カリファを迎えた“Payphone”をはじめ、3曲目の全米首位に輝いたレゲエ風味の“One More Night”、マイルドなグッドソングの“Daylight”という3曲が今回の『The Singles Collection』に選ばれている。

 同作のツアーを経てジェシーはバンドに復帰し、PJもそのまま残留。6人組として臨んだのが、アダムの設立したレーベル=222に籍を移しての5作目『V』(2014年)である。前作をさらにポップに突き詰めてメインストリームの粋を極めた同作からは“Maps”と“Animals”、さらに“Sugar”という3連続の大ヒットが今回のベスト盤に収録。その後のベスト盤『Singles』を経た2016年には初期からライヴ・サポートやコライトで関わってきた元ファントム・プラネットのサム・ファーラー(ベース/キーボード)が正式メンバーとして加わっている。

 その7人組でのアルバムが、よりR&B寄りになった2017年の『Red Pill Blues』だ。ラッパーの客演も通常運転となり、ここからはケンドリック・ラマー客演版の“Don’t Wanna Know”、SZAを迎えたの“What Lovers Do”がベスト盤にセレクト。“Girls Like You”は全米1位を7週記録して(ここにきて)バンド最大のヒットとなったカーディBとのコラボ版でのピックアップなのも嬉しい。

 他に『The Singles Collection』でセレクトされているのは“Memories”と“Beautiful Mistakes”の2曲。前者は2019年のメランコリックな美曲で全英2位を記録し、後者はミーガン・ザ・スタリオンとの手慣れたコラボだ。これらはいずれも2021年の7作目『Jordi』に収められている。近年はミッキーの離脱もありつつ、〈スーパーボウル〉のハーフタイム・ショウやラスベガスのレジデンシー公演という大仕事も経験し、さらには冒頭で触れた東京ドーム公演など国内外でのスタジアム・ライヴに至るまで、文字通り世界中を楽しませ続けているマルーン5。今回の『The Singles Collection』はそのヒット・チューンだけを選りすぐった贅沢なプレゼントだが、直近作『Love Is Like』を含めて彼らのアルバムにはまだまだ魅力的な楽曲があることを思えば、今回のシングル集はその最適な入り口になることだろう。

『The Singles Collection』収録曲に参加したゲストの当時の作品。
左から、クリスティーナ・アギレラの2012年作『Lotus』(RCA)、ウィズ・カリファの2012年作『O.N.I.F.C.』(Rostrum/Atlantic)、ケンドリック・ラマーの2017年作『DAMN.』(Top Dawg/Aftermath/Interscope)、SZAの2017年作『Ctrl』(Top Dawg/RCA)、カーディBの2018年作『Invasion Of Privacy』(Atlantic)、ミーガン・ザ・スタリオンの2020年作『Good News』(300)