NieR:Orchestra Concert
世界に鳴り響く〈終焉の交響樂〉の記録、堂々の凱旋!

 その美麗にして儚い音楽が世界観を確立し、ビデオゲームのトップランナーにたらしめた「NieR」シリーズ。昨年2024年から1年間に渡りSQUARE ENIXとAWR MUSICがタッグを組んだ一大興行〈NieR:Orchestra Concert 12024 – [ the end of data ]〉が催され世界各国でこの傑作音楽が鳴り響いた。55,000人を動員したこの世界ツアーの偉業を今更語るまでもないだろう。本盤はその流れを汲み、2025年8月3日に行われた東京公演を収録したオーケストラ・ライヴ・アルバムである。シリーズ15周年を迎えた記念のイヴェントとしてこれほどふさわしいものはないだろう。

『NieR:Orchestra Concert re:12024 [ the end of data ] Music CD』 スクウェア・エニックス(2026)

 シリーズを通してこの劇伴・音楽は、ピアノアレンジ、合唱アレンジからチルアレンジと様々な展開を魅せてきたが、世界観に最も親和性が高いオーケストラアレンジでなおかつライヴ収録というのは意外にも初。その緊迫感が鮮度高く収められているのが本盤最大の魅力かもしれない。

 オーケストラアレンジ担当として山下康介、宮野幸子、篠田大介、マリアム・アボンナサーらが名を連ね、演奏はエリック・ロス指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団が担当。アレンジも演奏も世界観の奥行きを広げる素晴らしいもので奏でる劇伴一曲一曲が極めて満足度の高い音源になっている。そんな音源が20トラックも収録されているのだから、公演自体を堪能していなくても感動を追体験できることは間違いない。

 個人的に目(耳)を引いたのはシリーズ通して様々なアレンジが施された“エミール”。冒頭からの弦楽~木管アンサンブルの美しさたるや筆舌に尽くしがたい。かたや“全テヲ破壊スル黒キ巨人”では情景がありありと浮かぶ凄絶な音世界を構築している。ピアノやハープも実に活用されており交響楽としての楽しみを堪能できる。またオリジナルの劇伴にも参加しているエミ・エヴァンス、ジュニーク・ニコールの両名もゲストヴォーカルとして本公演に参加。シリーズ代表曲たる“イニシエノウタ”では素晴らしいハーモニーに満たされ、“美シキ歌”では力強い歌声が響く。両名の歌声を付随音楽としてではなく、舞台芸術として改めて堪能することで得られる感動がここにある。