スターとして愛され続けた30年
スタッフ長年の夢だったオーケストラとの初共演

 ZARDがデビューしたのは1991年。それから30年、2007年ヴォーカル坂井泉水の逝去後もその楽曲は変わらず愛され続けている。そのZARDが映像を通して、オーケストラと初共演することになった。

 この挑戦でアレンジ監修と指揮を担うのは山下康介。billboard classicsでは自分の曲をオーケストラとの共演で歌うシンガーと、伴奏との間に生まれる化学反応が新たな発見につながり、魅力となっているが、今回の共演は未知数。どうなるのだろうか。

 「今回は、オリジナル音源のヴォーカル・トラックとの共演で、その歌は、バンド演奏で歌うニュアンスが少し強くなっていますが、そこにオーケストラの伴奏がつくことで不思議とまた違った魅力を感じることが出来るはずです。通常だと、アレンジによって歌手が歌いにくくなったり、声が潜ってしまったりするので、そこに気を使いますが、今回はその心配がないので、反対にとても自由なアプローチが可能だと思っています」

 意外にも冒険が出来るということか。さらにアレンジするなかで、ZARDの楽曲が長く愛される理由がどこにあるか、山下さんが発見することはあっただろうか。

 「これまでに多くの作家さんが楽曲を提供されていますが、本当にいいメロディがたくさんあるなとあらためて思いました。そして、いわゆるビーイング系と言われる、爽やかな気持ちいいビートとポップさが大きな特徴で、これがクセになるんですよね。この持ち味をどうオーケストラに昇華させるか。ここが一番の難題であり、おもしろいところでもあります。オリジナルとは異なる特別なアレンジを楽しんでいただきたいです」

 ところで、どんな楽曲が登場するのか。具体的なセットリストは、当日のお楽しみにとっておきたいが、“負けないで”などの代表曲は、期待したいところだ。

 「選曲は最初に長戸プロデューサーと僕で決めたものを山下康介さんやスタッフと相談しながら、多くの方に知られている曲、歌詞をぜひ今届けたい曲、さらに坂井泉水の歌声やメロディを新たにシンフォニーでお届けしたいという曲を選んでいます」

 こう語るのはZARDのディレクターだった寺尾広さん。オーケストラとの共演は、スタッフが長年描いていた夢だという。

 「ZARDは、山下さんがおっしゃるようにバンドサウンド中心に構成されていますが、オーケストラとパフォーマンスすることで、予想を超える進化、変化が起きるのではないかと思ってきました。シンフォニーで予測できる曲はもちろん、ロックっぽいアレンジの曲を含めて、坂井泉水の映像、歌声、歌詞と共によりダイナミックに、また、より繊細に新しいカタチでお届けできるかと思っています。実はこのコンサートを僕らスタッフ自身がすごく楽しみにしているんです」

 今回演奏するのは大阪を拠点とする日本センチュリー楽団。ZARDと縁のあるオーケストラだとか。公演は延期されたが、デビュー30周年を大いに盛り上げるアニヴァーサリー・イヴェントになるのは間違いないだろう。

 


LIVE INFORMATION
ZARD 30th Anniversary Premium Symphonic Concert ~永遠~
2020年5月2日(土)東京文化会館大ホール ※延期・振替
【振替公演】
2021年5月22日(土)東京文化会館 大ホール
開場/開演:16:00/17:00

2020年5月3日(日)東京文化会館大ホール ※延期
【振替公演】
2021年5月23日(日)東京文化会館 大ホール
開場/開演:13:00/14:00

2020年6月13日(土)兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール ※延期
【振替公演】
2021年5月8日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
開場/開演:16:00/17:00

出演:坂井泉水(ヴォーカルと映像)/山下康介(指揮・編曲監修)/日本センチュリー交響楽団
ゲスト・アーティスト:大野愛果(ピアノ)

http://billboard-cc.com/classics/zard2020/