クールかつ愛くるしい美貌と体つきで人気を博す、女優出身の注目の21歳ティナーシェ。自作曲を含む3作のミックステープで評価を得て、満を持してのデビューとなった。そのミクステで聴かせたアンビエントでゴシックな音色を本作でも纏っているためヒップなインディーR&B好きにも好まれそうだが、かつてのシアラやキャシーあたりに通じるおきゃんでコケティッシュな魅力こそ彼女の本分か。エイサップ・ロッキーを恋模様のお相手に迎えた“Pretend”の甘酸っぱい艶めきや、ジャネット使いの“How Many Times”で耳をなぞる湿り気を帯びたファルセットなど、歌声から漂うフェロモンにクラクラする濃密盤だ。カルヴィン・ハリスの新作ではEDMを歌っていたが、そんな違う器に乗った声ももっと聴きたいと思わせる。