
NakamuraEmiの歌と強く結びついた瞬間
「今日は特別な日なんです。なんでかというと、今日は1年に1回、わがままを言っていい日……誕生日なんです。だから、わがままを言ってスペシャルゲストに来ていただきました。NakamuraEmi~!!!」。XinUがそう呼ぶと、NakamuraEmiが「おめでと~、XinU~!」と言いながら登場した。ふたりは2024年にリリースされたNakamuraEmiのアルバム『KICKS』収録曲“Hello Hello (feat. XinU) - NakamuraEmi & MASSAN×BASHIRY”でコラボ(それ以前に2024年1月に開催されたイベントで共演)した仲だが、XinUはそれ以前からNakamuraEmiの曲を好きでよく聴いていたそうだ。

「今日はバンドで、Emiさんの曲と私の曲のマッシュアップでお届けしたいと思います」。そう言って始まったのはXinUの“罠”で、XinUが歌ってNakamuraEmiがハモる。その途中から流れも自然にNakamuraEmiが自身の曲“白昼夢”を。切れ味あるNakamuraEmiのラップが空間を切り裂いたあと、再び“罠”に戻ってふたりの歌声が強く結びついた。交差したり、ふたつの台の上に乗ったりもしつつ、互いを見合ってのそのパフォーマンスには熱があった。曲が終わると、「ハグしていい? ハグしていい?」とNakamuraEmiにすり寄るXinU。頼れる姉のようにXinUの背中を抱くNakamuraEmi。いい場面だった。
続いて庄司が「ン・チャッ・ン・チャッ」とレゲエのギターカッティングを始め、それに合わせて「お~・お~・お~」と“鼓動”のコーラス部分をXinUのリードで観客がシンガロング。1拍おいてリズムが原曲のそれへと変化し、ライブでとりわけ映える1曲“鼓動”が歌われた。曲終盤の「お~・お~・お~」で観客みんなが手を横に振って一体感が生まれた。

ライブハウスをクラブに変えた新境地の展開
このあとがまた今までのライブでは見られなかった新鮮かつクールな展開で、〈Music Collective XinU〉としての新たな可能性が提示されたように思えた。まず、“鼓動”の「触れてみて」という1フレーズをループさせ、そこから4つ打ちのビートが響きだすと、XinUの語りが聞こえてきた。「東京にはいろんな音楽、さまざまなビートが鳴っている。ヒップホップ、ジャズ、ロックミュージック、ハウスミュージック、ダブステップ……、そういうビートに思いを乗せて、届ける。めくるめく、知らなかったリズムに出会っていく。めくるめく思いを乗せて、届ける」。「最初は自分のためだった音楽、一緒に感じてくれる人たちがいるとわかった。自分の思いを乗せてきたビート、みんなの思いを乗せてきたビート、そう、何もかも忘れて、カラダをゆだねていく。私が求めていたものは、心を開放できる、この揺れ」。ポエトリーリーディングのようなそんな言葉が流れ、そして「出会っていく」という言葉が繰り返されると、一瞬音がやんで「一緒に揺れよう 何もかも忘れて 今だけは」という明確な言葉が放たれた。

そして音はハウスミュージック的なそれになり、小笠原のサックスが入ると『XinU EP #04』収録の“Timing”が始まった。音源でフィーチャーされていたAile The Shotaのラップはプリセットで出され、XinUのラップと歌が前へ。曲の終盤で「Club XinUへようこそ! 一緒に踊ろう」と叫ぶと、それを合図に曲は“Kiss Kiss Kiss”へと展開。ハウスのビート感がより強まって、まさにそこはライブハウスではなくクラブのように。さらにそのまま曲は“Refrain”へと移行。10数分に及んだその3曲のメドレーをノンストップでXinUは歌い切った。さすがに歌い終えたときは息を切らして「一回、水飲みます」と言っていたが、このクラブミュージック展開は新境地でもあり、今後は音源においてもこの試みの発展が見られるのではないかと、そんな予感もあった。