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リアルな本当の東京像を描きたい

――orlikの音楽って基本的にジャンルレスというか、何かに縛られないものだと思うんですけど、それを踏まえて、自分の音楽スタイルを一言で言うとすれば?

「電子音楽を基調にしつつ、その曲を作っている時に聴いていた音楽の影響が闇鍋みたいに入ってくる感じです。最終的には〈美味しい闇鍋〉になるのが理想ですね」

――なるほど。情報量は多いのに、ただ雑然としているわけではなくて、スッと入ってくる。そのまとまり方がすごく気持ちよかったです。出身は東京ですか?

「福岡生まれですが、小学校に入る時には東京に引っ越してきて、それ以来ずっと東京です」

――そのせいか、今の東京っぽさがすごく音に出ている気がしました。それはただのオシャレさとは違う。相対的には豊かだけど同時にヒリヒリしていて、虚しさや焦りも含んだ東京の感覚です。情報量が多いのにスッと入るのも東京っぽい。orlikは東京をどう見ていますか?

「今の東京って、海外からもサブカルチャーの中心地として見られていると思うんです。ボカロやアニメのイメージが強い。でも僕は、〈本当の東京像〉みたいなものに惹かれています。

たとえば渋谷の終わらない工事とか、無機質なビル群の冷たさって、すごくかっこいいと思うんですよ。今は東京の内向的な側面が注目されているけど、僕は見た目や外装のクールさが好きで。その風土感を音楽に結びつけたい気持ちはずっとあります」

――風景への意識が強いんですね。

「アニメも大好きなんです。『AKIRA』が描いていた〈ネオ東京〉は想像上のディストピアで、それはそれでとてもかっこいい。ケン・イシイさんが90年代にやっていたテクノにも、『AKIRA』的な未来のイメージを感じます。でも、実際の2025年に生きている僕は、現実のここにある東京を描ける。もっとリアルな東京像を描きたい」

 

工事中の渋谷はサイバーパンクっぽくてかっこいい

――『New contemporary』というタイトルもそうした今の現実感に通じますよね。

「ビル・エヴァンスの『New Jazz Conceptions』をもじっているんですが(笑)、でも、現代を表す意識はありますね。今の東京、東京に生きている20歳の日本人の自分を出す。その意識がめちゃくちゃあります。

その国の風土感でしか作れない音楽が絶対あると思っていて、ムームの音楽なんてアイスランドでしか作れないものじゃないですか。トーキング・ヘッズもアフリカ音楽の影響があるけど、やっぱりニューヨークのバンドだし」

――トーキング・ヘッズといえば今回のアルバムには『Remain In Light』の感触があります。『Remain In Light』にとってのニューヨークと、『New contemporary』にとっての東京が相似関係にある感じがして。

「まさに、そうだと思います」

――今の東京や日本にネガティブなイメージを持つ人も少なくないと思うけど、話していて、想像以上に現状にポジティブな印象を受けました。

「僕はめちゃくちゃポジティブな人間ですね。ネガティブな気持ちはあまりないかもしれない。広告主義みたいな内実よりも、工事中の渋谷の外装がサイバーパンクっぽくてかっこいいじゃん、という感覚を大事にしています」