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バスケ少年が頭脳警察のドラマーになるまで

――樋口さんは17歳でドラムを始めたとのことですが、それ以前はどんな楽器を?

樋口「一切、何もやってなかったですね。親がレコードを何千枚も持っていて、それを聴いて育ったんですが、僕は楽器ではなくてバスケットボールをずっとやっていて(笑)。ある日、父が買ってきた村上“ポンタ”秀一さんのDVDを見て、〈文化祭でドラムを演奏したい!〉と思ってドラムを始めました。

僕は三重県出身なんですが、大学は京都だったんです。それで大学時代、セッションに行ったときにたまたま岡本サミュエルさんがいらっしゃって、ラテン、ロック、ジャズを教わることになりました」

――そしてジミー桜井さんのバンドCELEBRATION DAZEにも加わり……ということは、ジョン・ボーナムのポジションを任せられたということですね。

樋口「それまでレッド・ツェッペリンに関してはほとんど演奏したことはなかったのですが、ジミー桜井さんのセッションで1回だけ “Rock And Roll”を演ったときに、やる気が認められたのでしょうか、声をかけていただきました」

――樋口さんは、さらに頭脳警察にも参加しています。

樋口「京都にいた頃、頭脳警察と対バンツアーをすることになって、バックバンドを務めたことがありました。その後、僕が東京に出てきたときにPANTAさんが声をかけてくれて頭脳警察に入ることが決まりました。僕は今のところロック系の仕事が多いんですが、メイシオ・パーカーのようなファンキーな音楽も大好きなんです」

 

癒しは求めないでいただきたい

――ところで今回は数々のロックミュージシャンやバンドの名前がインタビューに登場しましたが、いわゆるプログレッシブロックの面々に関してはまだ出ていないように思うのですが。

鬼怒「僕はもう、プログレが血であり肉ですし、こうやってインタビューで特に名前を挙げなくてもそれが音に出ちゃうというか(笑)。でも自分的には、いわゆるブリティッシュプログレッシブロックのビートよりも、素之助くんも好きなファンクだったり、そういったビートに寄っている感じでしょうか」

――岡田さんや樋口さんは、プログレに関してはどうですか?

岡田「僕はそんなに分かってないです(笑)」

樋口「僕も(笑)。聴いてきてはいるんですが」

鬼怒「なので、僕らの共通項は〈やる気〉なんですよ。たとえば〈キング・クリムゾンのファンが3人でバンドをやりました〉となると、どうしてもクリムゾンみたいな音楽になってしまうじゃないですか。それはそれで楽しいんでしょうけど……。

今は音楽をジャンルで分類するのが難しい時代で、ジャズとロックの対立とか、どのジャンルが偉いとか、そういったことにこだわっていたのは僕ぐらいの世代までだと思います。僕より若い素之助くんの世代もそうだったかもしれないけど、今はもう全部の音楽が並列になっていて、リスナーはいろんな音楽を楽しんでいます。なので、今回のアルバムとツアーは、ハードな音楽が好きな人、熱い音楽を求めている人にぜひ聴いてほしいですね。ただ、癒しとか、そういうものは求めないでいただきたい、という(笑)」

 


RELEASE INFORMATION

鬼怒無月, 岡田治郎, 樋口素之助 『ORBIT』 Days of Delight(2026)

リリース日:2026年4月23日(木)
品番:DOD-061
価格:2,750円(税込)

TRACKLIST
1. Selva Oculta
2. Adan
3. Red Fan
4. Waver
5. No Mean City
6. Fire Walk
7. I Was a Teenage Werewolf

(2025年11月13日~14日 東京にてライブ録音)

■演奏者
鬼怒無月 electric & acoustic guitar
岡田治郎 electric bass
樋口素之助 drums

 


PROFILE: 鬼怒無月
高校時代に音楽活動をスタートさせて以来、独学でギターを習得。ロックアンサンブルの新たな可能性を拡げるBondage Fruit、独自の視点でタンゴを再解釈するSalle Gaveau、現代的なアプローチでロックに切り込むCoilなど、数々のユニットを舞台にジャンルレスなプレイで独自の音楽表現を追求している。2024年にはDays of Delightから『フォーヴィスム』をリリース。

PROFILE: 岡田治郎
12歳でベースと出会い、22歳でプロに。高橋真梨子のヘンリーバンドに15年間在籍したのち、INFINITE CIRCLE、WISIWYGなどに参画。2001年からは日本を代表するフュージョンバンド、プリズムに加入し、3ピースバンドの一角として多くの秀作を送り出す。

PROFILE: 樋口素之助
17歳でドラムをはじめ、大学在学中に岡本サミュエルに師事。京都を拠点にプロミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせると、伝説的なロックバンド、頭脳警察やジミー桜井率いるCELEBRATION DAZEに参加するなど、一貫してロックシーンの最前線を走る。