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〈次世代のバッド・バニー〉も? クセ者揃いのヒップホップ/ラップ勢

ヒップホップ/ラップアーティストは近年に比べると出演数は少なめに感じるが、重要なのは数ではない。むしろ1組1組がクセ者で、それぞれが己のアイデンティティやステートメントを苗場にぶち撒けてくれるだろう。

北アイルランドはベルファストから今年初めに初来日を果たしたばかりのニーキャップは、今回が初のフジロック。Instagramに〈日本よ、準備はいいか。ニーキャップが帰ってきたぞ!〉と日本語でコメントするほど、かなり前のめりなようだ。ダン・キャリーがプロデュースしたニューアルバム『FENIAN』ではダウンビートやドリルンベースなどを用いて、自分たちが戦うべき対象に向けて言葉を吐き続けていた。3日目のGREENに轟く彼らの絶叫をぜひ直接浴びてほしい。

個人的な激推しはブエノスアイレス出身のラッパーで、これが初来日となるトレノ。最近ではゴリラズの新作『The Mountain』にも参加していたが、それ以外にもJ. バルヴィン、マシュメロ、DJプレミアといった面子ともコラボするなど、まさに〈次世代のバッド・バニー〉となり得るだけのポテンシャルを持つ存在だ。自国のルーツを掘り下げた4thアルバム『TURR4ZO』をドロップしたばかりで、同作に込められたパーソナルな思いを苗場で受け止めたい。ちなみに昨年のフジロックで一躍脚光を浴びたカトパコことカトリエル&パコ・アモロソと同郷ということで、そうした繋がりからもブレイクするかも。

そのほかジャジーヒップホップを極めしロイル・カーナー、ゲーム実況者からラッパー(現在はシンガーシングライターの側面が強い)へと転向し、ローファイなフォークトロニカをベースとした独自のサウンドスケープを構築するクアデカ、日本勢でもSuchmosとの対バンも記憶に新しいIO、Awichらと共に“RASEN in OKINAWA”で見事なマイクリレーを披露した唾奇などが顔を揃える。いずれもフジロックならではのロケーションと相まって、特別なステージとなるに違いない。 *小田

 

フェスを多面的に楽しめるアフリカやインドなどの非英語圏アーティスト

ほかのフェスにないフジロックらしさ、ということでは、北米やヨーロッパ以外のアーティストを多数招聘していることが挙げられる。かつて〈ワールドミュージック〉の棚に押し込められていた彼らの音楽も、グローバル化の徹底でほとんどフラット化され、リスナーも新鮮な音楽として触れる機会が増えただろう。フジロックは、そういうローカルでオーガニックでユニークな音楽の紹介役として地道に貢献してきた面も大きい。

今年はといえば、まず〈砂漠のブルース〉を代表するティナリウェンが挙げられる。サハラ砂漠のトゥアレグ族によるバンドで、1979年に活動を始め、2000年代に世界的な評価を高めてから20年以上経つ大ベテランだ。最近はエムドゥ・モクターが台頭した〈砂漠のブルース〉系譜の音楽だが、ティナリウェンの個性は不変で、それは新作『Hoggar』にも刻まれている。サイケデリックかつ催眠的ですらあるグルーヴは、FIELD OF HEAVENの環境でこそ映える。

※2026年6月5日追記:ティナリウェンはアーティスト側のやむを得ない事情により出演キャンセルとなりました

オランダのバンドで、トルコ系のエルディンチ・エジェヴィト・ユルドゥズが歌うアルトゥン・ギュンは、いま話題の一組。トルコの伝統音楽や民謡をポップでサイケデリックな演奏に融合させた、まさにポストワールドミュージック的な存在だ。インドのターラ・フライも、遠からずな陶酔性を奏でる。瞑想的なリズムと歌のこぶしに一発で魅了される者は多いはずだ。ビートルズやラヴィ・シャンカル、M. S. スブラクシュミ、U-zhaanなどからインド古典音楽に興味を持った者も、そうでない者も必聴。

チルもサイケもいらん、躍らせろ!という方にはこちらを。2000年代に注目を集めた南米コロンビアのクンビアを歪ませ、パンキッシュに聴かせるソン・ロンペ・ペラ。メキシコ発の彼らの音楽には、ロックやレゲエ、ダンスミュージック、コリードの愛好家もハマるだろう。南アフリカ音楽などの影響すら感じさせる演奏に身を委ねてほしい。またハンガリーのボヘミアン・ベチャーズこそ、血気盛んなオーディエンスに最適だ。ロマ音楽やバルカンブラスをパンク魂で融合させた彼らの熱い音楽は、まさに血沸き肉躍るもの。

上記の出演者の音楽は、非西洋圏のエキゾチックなサウンドに影響され、その要素を吸収してきたクルアンビンやLA LOM、ユーフのファンにこそ、ぜひ現場で体験してほしい。フジロックを多面的に楽しむ鍵が、ここにある。 *天野

 


LIVE INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL ’26

2025年7月24日(金)、25日(土)、26日(日)新潟・湯沢町 苗場スキー場
公式サイト:https://fujirockfestival.com