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シティポップの名曲・人気曲10選

ここでは、シティポップの名曲・人気曲を10曲紹介。先ほどリストアップしたアーティストの代表曲だけでなく、YouTubeやSNS経由で近年再評価されたものなども網羅的に取り上げる。実際に曲を聴いて、シティポップの世界に浸ろう。

竹内まりや “プラスティック・ラブ”(1984年)

2010年代後半、シティポップブームの波に乗ってインターネット経由で世界的に知られることとなった言わずと知れた名曲。それまで活動休止していた竹内がシンガーソングライターとしてキャリア復帰を果たした6thアルバム『VARIETY』の収録曲で、編曲は山下達郎が務めている。都会に生きる女性の強くも脆い様子を捉えたシネマティックな歌詞、マイナーキー特有の哀愁と不安定さ、ストリングスやホーンを重ねた煌びやかなサウンドなど、竹内の秀でたソングライティングとそれを深く理解した山下のアレンジが光る1曲だ。中西康晴(エレクトリックピアノ)、伊藤広規(ベース)、青山純(ドラムス)らによる卓越した演奏もサウンドを構築する上で大きな役割を果たしている。レコード、CD、配信といかなるハードで聴いてもときめきと感動をもたらしてくれる、まさにシティポップを象徴するナンバーだ。

松原みき “真夜中のドア~stay with me”(1979年)

松原が20歳の誕生日を迎える直前にリリースされた、記念すべき1stシングル。作詞は三浦徳子、作曲と編曲は林哲司が担当しており、デイヴィッド・フォスターが作曲したキャロル・ベイヤー・セイガー“It’s The Falling In Love”からの影響が色濃く反映されている。インドネシアのYouTuber、Rainychが2020年にアップしたカバー動画が世界的に注目されたこともこの曲がリバイバルヒットした要因のひとつだが、それ以上に一聴して耳に残る林のメロディメイカーとしての手腕、当時まだ19歳だった松原の圧倒的な歌唱力があってこその名曲だと言えよう。松原正樹(ギター)のダンサブルなバッキング、林立夫(ドラムス)のシンコペーションを多用した16ビート、主メロに寄り添いながらも時折顔を出す後藤次利(ベース)の自由なフレージングなどプレイヤー陣の活躍も聴き逃せない。

山下達郎 “SPARKLE”(1982年)

名盤『FOR YOU』の幕開けを告げる、山下自身の代表曲とも言える1曲。山下の愛機であるフェンダーのテレキャスターを購入したことをきっかけに誕生した曲で、そのため自身のストロングポイントであるギターカッティングをほぼ全編でフィーチャーしている。山下の伸びのあるボーカルとファンキーなギタープレイはもちろん、青山純のドラムと伊藤広規のベースが織りなす極上のグルーヴも聴きどころだ。作詞とバッキングボーカルには吉田美奈子が参加しており、歌詞とコーラスの面で曲にリゾート感をもたらしている。そのタイトルどおり、キラキラと光り輝くようなサウンドデザインは今やシティポップを定義する重要な要素のひとつであり、そうした洗練された音の意匠が海外のリスナーをも魅了している。

大滝詠一 “君は天然色”(1981年)

大滝が長年追求してきた日本ならではのウォール・オブ・サウンド=ナイアガラ・サウンドを体現したアルバム『A LONG VACATION』の収録曲(同日に同曲のシングルも発売)。須藤薫への提供曲を制作する過程で曲の原型はできていたそうだが、最終的には自身の楽曲としてリリースすることとなる。バッキングトラックはアコースティックピアノ4台、エレピ1台、5人のパーカッションなど総勢20人の〈大滝オーケストラ〉と呼ばれる面々を集め、1テイクでレコーディングされたという。そのゴージャスなサウンドとは裏腹に、松本隆が書き上げた歌詞はどこか儚げで、手の届かない輝く未来を羨望しているような視点が含まれており(松本がこの時期に最愛の妹を病気で亡くしたことが強く影響している)、そうした音像とリリックのギャップがこの曲を特別なものとしている。

杏里 “悲しみがとまらない I CAN’T STOP THE LONELINESS”(1983年)

角松敏生がプロデュースした通算14枚目のシングル。角松自身はあくまでプロデューサーに徹していて、作詞は康珍化、作曲は林哲司にそれぞれ依頼するかたちで制作された。角松から「ソウルっぽいものを作ってほしい」と依頼された林は、シュプリームスあたりを意識したようなモータウン風のサウンドでトラックを作り上げ、一方の康は〈彼氏を友達に取られてしまったストーリー〉というテーマでドラマティックかつ繊細な世界観を歌詞に落とし込んでみせた。力強く艶やかな杏里のボーカルは、曲の主人公の心情を的確に捉え、よりリアリティのある物語として聴き手に伝えている。曲の終盤、転調したのちサビがリフレインしてフェードアウトしていく展開は、まさに悲しみがとまらない様子を表現しているかのようだ。