(左から)梅井美咲、北村蕗

ビルボードライブ横浜でソロ/ユニットでの現在地を示す

2026年9月22日(火・祝)、ビルボードライブ横浜がひとつの実験の場になる――梅井美咲と北村蕗、それぞれのソロセットから幕を開け、互いの個性をぶつけあうセッションを経て、最後には2人の共同体°pbdb(キューピーキューディー)としてひとつの音像へと着地する。そんな3段階の構成を持つライブが行われるのだ。テーブル越しに演奏者の呼吸まで伝わるビルボードライブという空間は、編成が刻々と移り変わっていくこの日のステージを味わうのにうってつけの舞台と言えるだろう。

°pbdbは、ジャズやクラシックを下地に持つピアニスト/コンポーザーの梅井美咲と、フォークからクラブミュージックまでを軽やかに横断するシンガーソングライターの北村蕗が楽曲制作や共演をきっかけに意気投合し、2024年に結成されたクリエイティブユニットだ。180度回転させて読むユニット名は、視覚と発想の両面での遊び心が込められていて、2024年に配信されたデビュー作『qpqd』の収録曲“qd”がAppleの広告クリエイティブに採用されるなど、始動直後からその独自の音楽性を印象づけた。

そしてデビューから1年8カ月、今年8月5日に全5曲入りの1st EP『qpep°1』が届けられた。『qpqd』ではドラムンベースなどを軸とした音楽性を提示していたが、今回は曲ごとに編成や制作手法を変え、表現の幅をさらに広げている。リバースサウンドで構築したメランコリックなインスト曲“#scent”からはじまり、繊細でチルな印象のリードトラック“sparkling summer”、浮遊感のあるドリルンベースに仕上がった“jiggling jelly touch!”、ノスタルジックでアンビエントな香りが漂うショーロ風の“aqua”、ピアノの生々しい音色と儚いボーカルが織りなす“uta”と、それぞれ異なるアプローチの5曲が彼女たちの現在地を示している。

アイデアが生まれた瞬間に形にし、互いに素材を受け渡しながらトラックや演奏、歌、アレンジを組み立てていくリレー形式の制作方法も、°pbdbの大きな特徴のひとつである。生楽器と電子音、歌とラップなど多様な要素が交差する楽曲が、どのような編成と音の重なりとしてビルボードライブ横浜で立ち上がるのか。音源とは異なるライブならではの変化にも注目したいところだ。

そんな1st EPのリリースを祝う本公演では、梅井と北村のソロセットも見逃せない。梅井は石若駿、君島大空、ジョーディ・グリープらと共演するほか、菅野咲花とのユニットharuyoiでも活動するなど確かな技術と豊かな感性を持ちあわせ、2025年には1stアルバム『Asleep Above Creatures』を発表している。今年4月には初のスタンディング単独公演を成功させたばかりだ。

北村は弾き語りを起点に、DTMなどを取り入れた多彩なライブパフォーマンスを展開している。2025年にリリースした1stアルバム『Spira1oop』では、ピアノの弾き語りによる内省的な曲からストリングスを配した楽曲、エレクトロニックなダンストラックまでを横断し、これまで点在していた自身の多様な表現を一枚の作品へと体系化してみせた。