奇妙礼太郎と七尾旅人がビルボードライブ横浜で初のソロ2マン
今年の奇妙礼太郎は、どこか密度が違う。4月に自身の生まれ年を冠した6枚目のスタジオアルバム『1976』をリリースし、7月には初の日本武道館公演も控えるなど、長いキャリアにおいて新たなステージを迎えている。そんな彼が、今年の夏にもうひとつ重要な舞台を用意した。7月22日(水)にビルボードライブ横浜で開催されるアコースティック2マン企画〈NIGHT LUNCH〉である。
昨年行った同企画の初回では君島大空と邂逅した奇妙だが、第2回目となる今回は七尾旅人を招いて新たな章を刻む。しかも、この組み合わせでのソロ2マンライブはこれが初だという。横浜・北仲という港町のロケーションもまた、ライブを特別なものにしてくれそうだ。
まず今年9月に50歳を迎える奇妙礼太郎の現在地を確認しておこう。前述した最新作『1976』には、奇妙が若い頃から歌い続けてきた“オー・シャンゼリゼ”“愛の讃歌”といったシャンソンの名曲のカバーに加え、ドラマ「終のひと」の主題歌として書き下ろした“愛がすべてのこと”など全12曲が並ぶ。50年という歳月によって鍛え上げられた声への揺るぎない自信と、自身のルーツへと向き直る誠実さが感じられる一作だ。
骨太の低音から、ふっと空気を抜くように降りてくるファルセットまで、ジャンルの壁など意に介せず、何を歌っても〈奇妙礼太郎の歌〉に染め上げてしまう実力は、本作でも存分に発揮されている。1998年にプロとして活動をはじめ、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団、天才バンドを経てソロへ。その長い道のりが、1枚に凝縮されたような作品だ。
異端のシンガーソングライター、七尾旅人は1998年のデビュー以来〈うた〉そのものを問い続けてきた。“Rollin' Rollin'”“サーカスナイト”といった広く知られた楽曲をレパートリーに持ちながら、フォーク、ソウル、ジャズ、オルタナティブを縦横無尽に行き来し、唯一無二の音楽世界を育んできた。2022年にリリースされた現時点での最新アルバム『Long Voyage』は、コロナ禍と戦争の時代を生きる人々の息遣いを、幻想的かつ鋭利な視点で描き出した力作として高く評価された。
しかし七尾の真骨頂はなんといってもライブにある。一期一会の即興性と、聴き手の感情の深いところに直接触れてくるような歌の質感。〈同じ演奏は二度とない〉と謳われるように、その場に立ち会うこと自体が貴重な体験となる稀有な表現者だと言えるだろう。ギターと声で自分だけの世界を描ける、そんな確信が彼のステージには常に漲っている。