『Mama’s Gun』25周年ツアーを終えて再び日本へ

こんなにも早く戻ってきてくれるなんて――昨年6月に来日公演を行ったばかりのエリカ・バドゥが、わずか1年という短いスパンで日本へ戻ってくるとわかったとき、真っ先にそう思った。昨年の来日公演は、約8年ぶりの日本でのライブだったこと、さらに新作のプロデューサーを務めているジ・アルケミストを迎えた特別なステージだったこともあり、大きな注目を集めた。

そんな話題に富んだライブから1年しか経っていないにも拘らず、エリカ・バドゥが再び日本へ戻ってくる。本稿では、2026年7月上旬に横浜、東京、大阪のビルボードライブを巡る彼女の来日公演で注目すべき点について触れていく。

まず頭に入れておきたいのが、この1年の間のエリカ・バドゥの動向である。先述したジ・アルケミストと制作中と言われている新作は2026年4月現在でまだドロップされていないが、前回の来日公演でも披露された“Next To You”のみリリース済みだ。

同曲は、ジ・アルケミスト自身がプロデューサーとして関与したモブ・ディープの“The Realest (feat. Kool G Rap)”をサンプリングし、時折バドゥのボーカルを切り張りしたローファイでドープなナンバーに仕上がっている。おそらく今回は披露されないだろうが、ライブに向け最新の彼女の歌声をチェックしておくのもいいだろう。

そして最も把握しておくべきトピックが、2025年後半に『Mama’s Gun』の25周年ツアーを行っていたということだ。バドゥの2ndアルバムとして2000年に発表された同作は、彼女のデビュー作『Baduizm』(1997年)やディアンジェロ『Voodoo』(2000年)などとあわせてネオソウルにおける屈指の名盤としても知られている。

ソウルクエリアンズによる上質で生々しいセッションと巧みなプロダクション、そして『Baduizm』以上にバドゥのパーソナリティやフェミニズムが色濃く刻まれたリリックなど、リリースから25年以上が経過した『Mama’s Gun』は、今もリスナーの想像力と多くのミュージシャンたちの創作意欲を掻き立て続けている。

25周年ツアーでは“Didn’t Cha Know”“...& On”など『Mama’s Gun』の全曲がほぼ曲順どおりに披露されたようで、今回の来日公演でも同作から何曲かパフォーマンスされるに違いない。混沌を極める2026年に、55歳のバドゥの声で聴く『Mama’s Gun』のナンバーはきっとリスナーの心に深く突き刺さるはずだ。