圧倒的な浮遊感と没入感で惹きつけるR&Bデュオ
昨年、オルタナティブでインディペンデントな音楽アーティストを表彰するアワード〈TOKYO ALTER MUSIC AWARD ’25〉にて、最も活躍したアジアのアーティストに贈られるBest Alter Asian Artistsを受賞したインドネシアの2人組、ガルダイブ。いま世界から注目を集める彼らが、2026年5月20日(水)にビルボードライブ横浜でプレミアムなショーを開催する。
ガルダイブは、ティシャ(ボーカル)とオズヴァルドリオ(プロデュース)によるR&Bデュオ。2014年頃に出会った2人は、2018年にシングル“Lotus”でデビューして以来、インドネシアを中心にアジア各国でのライブや楽曲のリリースを重ね、活動の範囲を拡大してきた。
彼らの楽曲に触れてまず印象に残るのは、ティシャの歌声だ。清らかでありながら芯のあるその声は、心地よさと聴き手を惹きつける確かな引力を併せ持つ。どこか浮遊感を帯びたドリーミーなウィスパーボイスは、サブリナ・クラウディオあたりを想起させる。
そんなティシャの歌声を活かしたガルダイブの楽曲の特徴を細かく紐解いていくと、彼らの音楽が単に心地よいものに留まっていない理由が見えてくる。ビートは決して主張しすぎず、むしろ余白を活かすように配置されている一方で、シンセやギターのレイヤーは繊細に重ねられ、空間に奥行きを与えている。特に印象的なのは、音の滲み方だ。輪郭をあえて曖昧にしたサウンドデザインが、楽曲全体に柔らかなグラデーションを生み出し、リスナーを包み込むような聴感を作り出している。
また、ボーカルもトラックに対して過度に前に出ることはなく、あくまでサウンドの一部として溶け込むように配置されている点にも注目したい。このバランスこそが、ガルダイブの音楽が持つ浮遊感と没入感の正体ではないだろうか。
今回の来日公演に臨むにあたりチェックしておいてほしいのが、彼らが昨年リリースした2枚目のスタジオアルバム『Blue』だ。同作は、R&B、ネオソウル、スムースジャズといった従来のガルダイブらしさを追求しながら、その音楽性の幅をさらに押し広げている。
たとえばボサノバ調の“Night Charade”では、スリン(竹製の縦笛)、タレンポン(青銅製の打楽器)、クンダン(主にガムランなどで用いられる太鼓)、アンクルン(複数の竹筒を揺らして音を出す楽器)といったインドネシアの伝統楽器を取り入れており、自国の文化に根ざしたアプロ―チを試みている。音の流れにただ身を委ねるのもいいが、楽器をはじめ細部に宿るこだわりを探りながら聴くのもまた一興だ。