ブッカー・T・ジョーンズを想起させるオルガニストが率いる3人組
デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオ――その名前からして手練れたちによる豊かなアンサンブルが聴こえてきそうだ。もし筆者と同じように彼らのバンド名だけを見て期待感を抱いた人がいたならば、どうかその感覚のまま2026年6月3日(水)にビルボードライブ東京へと足を運んでみてほしい。
まずは彼らの経歴を簡単に紹介しよう。2015年にシアトルで結成されたデルヴォン・ラマー・オルガン・トリオは、オルガニストのデルヴォン・ラマーことデルヴォン・デュマを中心に現在はブライス・カルヴィン(ギター)、アシュリー・アイクス(ドラムス)という布陣で活動している。
そもそもラマーはドラムやトランペットを演奏していたそうだが、あるライブを境にオルガン奏者へと転向。彼自身、過去のインタビューでその瞬間を「まるで生まれてからずっと弾いてきたかのように自然に弾けた」と振り返っている。どこか運命的にも感じるエピソードだが、確かに彼のプレイに耳を傾けるとドラムやトランペットで培ったであろうリズム感や瞬発力を感じ取ることができる。
バンド結成の経緯としては、ラマーの妻エイミー・ノヴォがきっかけを作ってくれたという。それまでラマーは自身の名を掲げたリーダーバンドを持つ気などなかったそうだが、彼を側で見続けていたノヴォの薦めもあり、デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオを結成した。バンドはシアトルを拠点としながら、アメリカ各地や海外でもライブ活動を展開していき、モントレー・ジャズなどのフェスに参加するなど着実に力をつけていった。
そうしたライブシーンで磨いた楽曲群などを収めたデビューアルバム『Close But No Cigar』(2016年)は、エネルギッシュなソウルジャズ調の“Concussion”で幕を開ける。前半はファンキーなギターカッティングとタイトなドラミングの上をラマーのハモンドオルガンがリードし、後半ではブルージーなギターソロが展開していく様は、トリオ編成で奏でるジャムセッションのお手本とも言うべきナンバーだ。
そのほかにもブッカー・T・ジョーンズばりの歌心を感じさせるオルガンプレイが聴きどころな“Little Booker T”、タイロン・デイヴィスの名曲をよりミニマムにまとめ上げた“Can I Change My Mind”などオリジナルとカバーを織り交ぜたデビュー盤は、とにかくライブ感を重視した作品だと言えるだろう。
カーティス・メイフィールド、ジョージ・マイケルの名曲カバーも
個人的に今回のビルボードライブ公演を前にオススメしたい予習盤が、地元シアトルの有名ラジオ局KEXPでのパフォーマンスを収めた『Live at KEXP!』(2018年)だ。カーティス・メイフィールド“Move On Up”のカバーを含むパフォーマンスの一部はYouTubeでもチェックできるが(原稿執筆時点で1,540万回以上再生されている)、当時のメンバーであったジミー・ジェイムス(ギター、現在はパーラー・グリーンズで活動)とデヴィッド・マクグロウ(ドラムス)とのアンサンブルは、音の厚みや生々しさも含めて音源だけ聴いてもその臨場感が十分伝わってくる。
バンド全体のサウンドは、カルヴィンとアイクスを迎えた現在の編成ではもう少しシャープな印象だが、この『Live At KEXP!』ではずっしりとした重心の低い演奏を聴くことができる。ラマーのハモンドオルガンを軸としながら、演奏メンバーによって楽曲の印象がどのように変わるのか。当時の音源と現在のパフォーマンスを比較しながら、今回の来日ライブを楽しむのもいいだろう。
そういう意味であれば、もう一枚のライブアルバム『Live In Loveland!』(2022年)も押さえておいて損はない。2018年、オハイオ州ラブランドのレコードショップでのパフォーマンスを収録した同作には、グラント・グリーン版のジェームス・ブラウン“Ain’t It Funky Now”や、チャールズ・ライト&ザ・ワッツ・103rd・ストリート・リズム・バンド“Love Landの”のカバーなどが聴ける。なお、ライブではかなりの頻度で披露されているファンキーで妖艶なムードを纏ったジョージ・マイケル“Careless Whisper”のカバーはアルバム『I Told You So』(2021年)に収録されているので、こちらも忘れずにチェックを。
そして、この3月にリリースされた久々の新曲“Chicken Leg”は、それこそ冒頭で紹介した1stアルバムの1曲目“Concussion”にも通じるご機嫌なファンキーソウルに仕上がっている。ちなみに同曲のギターはジミー・ジェイムスが担当しているようで、次作がどんなメンバー編成となるのかにも注目だ。
デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオのライブは即興性の高さも売りで、演目もフレキシブルに変わるという。豊富なレパートリーから何を演奏するのか、それを決めるのは会場のオーディエンスが発する熱気かもしれない。最高にソウルフルでファンキーなステージを、ラマーたちと共に作り上げようではないか。
LIVE INFORMATION
Delvon Lamarr Organ Trio
デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオ
2026年6月3日(水)ビルボードライブ東京
1stステージ
開場/開演:16:30/17:30
2ndステージ
開場/開演:19:30/20:30
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-21179
■チケット料金 ※飲食代金別
DXシート DUO:23,200円(ペア販売)
DUOシート:22,100円(ペア販売)
DXシート カウンター:11,600円
S指定席:10,500円
R指定席:9,400円
カジュアル:8,900円(1ドリンク付)
※本公演はClub BBL会員、および一般販売をWEB受付のみ実施いたします
※法人会員は電話にてご予約承ります
■メンバー
デルヴォン・デュマ(オルガン)
ブライス・カルヴィン(ギター)
アシュリー・アイクス(ドラムス)