サンフランシスコが育んだ〈ストリートの詩人〉がビルボードライブに初登場

西海岸の乾いた風、スケートボードのウィールがアスファルトを叩く硬質な音――そんなバックグラウンドとともに立ち上がってくるのは、既存のジャンルの境界線を軽やかに越境していく極めてパーソナルで自由なギターの響きだ。サンフランシスコが育んだストリートの詩人ことトミー・ゲレロは、80年代に伝説的なスケートボードチームの一員として世界のストリートシーンに衝撃を与え、ボードを楽器へと持ち替えてからも、その瑞々しい感性を失うことなく歩み続けてきた。そんな彼が、2026年4月21日(火)、ビルボードライブ東京というプレミアムな舞台に初めて立つ。

彼の音楽家としての歩みを振り返る際、1997年のデビューアルバム『Loose Grooves & Bastard Blues』を避けて通ることはできない。ルーズなビートにブルースやジャズの断片を編み込んだこの作品は、華美な装飾を排した潔いサウンドで多くのリスナーを虜にし、今なお色褪せない名盤として語り継がれている。ローファイかつジャジーなビートの上でレイドバック気味の艶やかなギターを奏でる“In My Head”は、彼のライブの定番曲の一つだ。

続いて2003年に発表された『Soul Food Taqueria』は、彼のキャリアにおける一つの到達点と言える作品だろう。楽曲によってリズムマシン、ドラム、パーカッションを使い分け、ファンクやヒップホップ、ジャズにラテンなど多彩な要素を詰め込んだこのアルバムには、人々の日常に溶け込む豊かな楽曲が並ぶ。リバーブのかかったギターサウンドが穏やかで甘いムードを演出する“Thank You MK”あたりは、ビルボードライブとも相性がよいナンバーだと思う。

そして、近年のゲレロの深化を証明するのが、2025年リリースの最新作『Beneath The Pewter Sky』だ。本作ではかつてのレイドバックしたムードに、静謐なアンビエントの要素が大胆に注入されている。一音一音の残響にまで意味を宿らせたようなシネマティックな世界観は、彼が単なるストリートのアイコンに留まらず、孤高の表現者として成熟を続けていることを物語っている。

ゲレロの名を一躍有名にしたキューピーのテレビCMへの楽曲提供(“It Gets Heavy”など)に象徴されるように、彼の奏でるギターはもはや特定のコミュニティに収まるものではない。サンフランシスコの路上で生まれたその響きは、いまや海を越え、ここ日本のお茶の間の風景にまで、ごく自然な彩りとして溶け込んでいるのだ。

初となるビルボードライブ公演は、長年の盟友として信頼を寄せるジョシュ・リッピ(ベース)を伴ったデュオ編成でのパフォーマンスが予定されている。最小限のアンサンブルだからこそ際立つ、ゲレロの雄弁なギタープレイ。洗練された都会の中で、彼らが奏でる音は見る者を日常の喧騒から切り離し、どこか遠くの景色へと連れ去ってくれるに違いない。それは、かつて彼がサンフランシスコの坂道をスケートボードで滑り降りたときのような、純粋で濃密な自由の感覚を追体験させてくれるだろう。その瞬間を、ぜひその目と耳で確かめてほしい。

 


LIVE INFORMATION
Tommy Guerrero
トミー・ゲレロ

2026年4月21日(火)ビルボードライブ東京
1stステージ
開場/開演:16:30/17:30
2ndステージ
開場/開演:19:30/20:30
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-21260

■チケット料金 ※飲食代金別
DXシート DUO:20,200円(ペア販売)
DUOシート:19,100円(ペア販売)
DXシート カウンター:10,100円
S指定席:9,000円
R指定席:7,900円
カジュアル:7,400円(1ドリンク付)

※本公演はClub BBL会員、および一般販売をWEB受付のみ実施いたします
※法人会員は電話にてご予約承ります

■メンバー
トミー・ゲレロ(ギター)
ジョシュ・リッピ(ベース)