日本におけるAOR〜ブラコン歌謡、シティー・ポップのフィーリング、そうした諸々の根源としての再評価も著しいパイオニアから、3年半ぶりのオリジナル新作が到着。とはいえ、その間に出たリメイク・ベスト盤の好評にかまけず、追い風に乗じて好きなことをやるあたりが彼らしいところで、今回は22分のフュージョン組曲を含む、全5トラックで約52分という〈プログレッシヴ・ポップ〉作に仕上がっている。らしさ全開なのは中身も同様、その構成は旅の行程を作り手の意志のままに体験してほしいという『Lovesexy』的な意図もあるのだろう。クワイアを迎えた“Get Back to the Love”の15分かけて湧き出る昂揚感はその効果を証明するものだ。難解さもなく、爽快かつスマートな聴後感が素晴らしい充実作!