東京落語の大先生、さん喬師匠によるキャニオンのシリーズも18枚目を迎えました。今回は「大工調べ」と「粗忽の釘」を収録。毎度のことですが、丁寧な仕事がどちらの演目でも光ります。「大工調べ」は啖呵が聴きどころではありますが、忘れてはならないのは人物描写や登場人物の関係性をどう感じさせるかです。師匠の描く大家の意地悪さはムカついて嫌になるくらい心にドーンとくるのですが、この生々しさでこそ最後の爽快感につながるんだと思います。「粗忽の釘」では、ゆったりのんびり主人公を描いています。このおおらかさも師匠ならではの味わい。心地よい粗忽っぷりに笑いが溢れます。