朝日名人会シリーズ最新作は、〈歌える〉最年少落語協会現会長・四代目柳亭市馬師匠の〈人〉を描いた2席を収録。「文七元結」は歌舞伎でも親しまれる人情噺。江戸っ子気質ゆえの想いの強さにホロリとする一席。師匠の〈オチ〉に注目。江戸の歌舞伎役者の哀歓を描いた古典落語「淀五郎」は上方でも演じられる一席。ピンチヒッターで塩冶判官を演じることになった若手役者の淀五郎は、肝心なところで見せられず空回り。憎まれ役、ダメ出しをする團蔵と、團蔵を斬り自分も舞台で腹を切ろうかと葛藤する淀五郎との掛け合いが妙。師匠の美声は言わずもがな、深く聴きこめる味のある一枚。