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キャロルでの功績やソロ・キャリアから紐解く、ジョニー大倉が音楽シーンに与えた絶大な影響

【その時歴史は動いた】第五十五回 ジョニー大倉

キャロルでの功績やソロ・キャリアから紐解く、ジョニー大倉が音楽シーンに与えた絶大な影響

日本の音楽史にその名を刻んだアーティストのドラマ

 デビューから数年で華々しく解散し、その瞬間最大風速の高さゆえに伝説となったキャロル。当然リアルタイムでの活躍に触れたことはなくとも、現在も第一線で輝いている矢沢永吉を輩出したバンドとして、名前ぐらいは多くの人が知っているはずだ。一方、その相棒だったジョニー大倉の功績はどれだけ伝わっているだろう。少なくとも、彼の閃きがその後の音楽シーンに絶大な影響を与えていることは、もっと知られていいはずだ。

 キャロルでギター/ヴォーカルと(主に)作詞を担当したジョニー大倉こと大倉洋一(本名は朴雲煥)は、52年に神奈川で生まれている。矢沢永吉のメンバー募集に応じる形で出会い、72年にキャロルを結成。ロック=長髪というイメージのあった当時、ハンブルク時代のビートルズを参照した〈革ジャンにリーゼント〉というヴィジュアルを発案したのはジョニーだという。不良性を匂わせた視覚的な鮮烈さがキャロルのデビューに凄まじい勢いをもたらしたのは疑いない。また、当初から自作のナンバーを揃えていた矢沢の曲に詞をつけるにあたって、語感とノリを優先して日本語と英語をミックスしたのはジョニーであった。〈ロックに日本語は乗るのか?〉という論争すらあった時代に、コロンブスの卵的な発想をジョニーが持ち込んだ〈その時〉、キャロル(というか日本のロック)が先鋭的なカッコ良さと大衆性を両立するうえでの大きな柱が生まれたのである。

【参考動画】ジョニー大倉によるキャロル・メドレー

 

 75年のキャロル解散後、本名で映画「異邦人の河」に主演したジョニーは、その主題歌でソロ歌手としてデビュー。76年のファースト・アルバム『JOHNNY COOL』からコンスタントにリリースを開始する。キャロル時代からリードを取ることもあったジョニーだが、ソロでも甘い歌声を活かして独自のロックンロールを追求していく。77年には日本のソロ・ロック歌手として2人目となる武道館公演を敢行(5日違いで先に公演していたのが、まさに矢沢である)。並行して山口百恵中原理恵らへの楽曲提供も行い、78年のビクター移籍後はメロウ・サイドにも開眼し、阿久悠後藤次利とのコラボも通じて音楽性の幅を広げていった。

【参考動画】ジョニー大倉の76年作『JOHNNY COOL』収録曲“一粒の涙(ピエロの歌)”

 

 80年代は日本アカデミー賞の優秀助演男優賞を受賞した「遠雷」(81年)をはじめ、「戦場のメリークリスマス」(83年)などの映画を中心に、俳優としての活躍が目立つようになっていく。89年にはかつて後見したTROUBLE高橋ジョージや元キャロルの内海利勝らとTHE PLEASEを組み、改めてバンド・サウンドを追求。その解散後もマイペースに活動を続けていくが……14年11月に永眠。晩年は過去への愛憎を垣間見せる機会も多かったが、それもジョニーの人間味だろう。最期まで貫かれたロックンロールへの愛は、まず今回のベスト盤から辿っていただきたい。

 


 

ジョニーのその時々 

ジョニー大倉 JOHNNY FOREVER -THE BEST 1975-1977- ユニバーサル(2015)

フィリップス時代のアルバム3枚から選りすぐりのナンバーを中心にリマスター編纂されたベスト盤。鼻っ柱の強さをスウィートで軽快なロックンロールに託したソロ初期の決定盤と言えそうだ。主演映画の主題歌でもあった初のソロ・シングル“いつになったら”など、5曲の初CD化も貴重。

 

ジョニー大倉 MARINE BLUE EXPRESS ビクター(1979)

多くのロック・アーティストが洗練へと向かった時代を反映し、ビクター時代のジョニーは甘い声質を活かしたAORタッチの新路線にも意欲的に取り組んでいた。なかでも本作は半数の作詞を阿久悠に委ねた異色の一枚で、骨太なハートを軟派な装いで包むメロウな歌い口がいい。 

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ジョニー大倉&ベイ・ジャンク外人部隊 チャイナ・タウンから来た男 CLIMAX/徳間ジャパン(1983)

このたび初めて復刻された幻の一枚。作詞に阿木燿子三浦徳子ビートたけし横尾忠則(ジャケも担当)らを迎えた豪華なコンセプト作で、同時代のデヴィッド・ボウイポリスを思わせるニューウェイヴ期ならではの意匠が刺激的だ。 

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ジョニー大倉 抱いて抱いて抱いて! Special Edition ヴィヴィド(2014)

生前の最終リリースとなったのは、2010年のアルバムをオリジナル・マスターを用いて新装し、新たにライヴ盤もプラスした2枚組。オールディーズ調のロマンティックな表題曲をはじめ、マージー・ビート以前の古き良きロックンロール作法に直球で挑んだ快作である。

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