コラム

思わずニヤける? cali≠gariの新作のなかに散らばるアイデアの元は……【cali≠gari 『12』 Pt.3】

 「今回のアルバムは音楽好きな人がわかってくれそうな小ネタがちょいちょい入ってる感じですね。何人が見つけてくれるかなってすごい楽しみなんですよ」というのは桜井の、「ネタみたいなアイデアっていうのは、自分が志向してるものとか、いままでの経験値とか、自分の持ち合わせてるものっていうのがすごい重要」というのは石井の発言だが、途轍もないリスナー気質のソングライターを擁するcali≠gariだけに、この『12』の場合も思わずニヤけるあれこれがあちこちに。ここでは、そんな発想の元の一部を紹介しよう。

 まずは、プリンスデッド・オア・アライヴカイリー・ミノーグをごちゃ混ぜにしたような音世界を構築した“セックスと嘘”。桜井いわく、「3アーティストとも好きすぎて、混ざっちゃった(笑)」とのこと。また、村井による「ちょっと変な拍子が入ってくるような、プログレッシヴなデモ」を元に石井が再構築したという“とある仮想と”の仮タイトルは〈wetton〉だったそうだし、「本来は初期のミニストリーみたいな感じの曲で、完成形にもその名残がある」(石井)というEBM的なビートの“バンバンバン”には、たいがいの日本人にはスタンダードな(!?)もうひとつのネタも。

【参考動画】プリンスの84年作『Purple Rain』収録曲“Let's Go Crazy”

 

【参考動画】デッド・オア・アライヴの86年のシングル“Brand New Lover”

 

【参考動画】カイリー・ミノーグの2010年作『Aphrodite』収録曲“Better Than Today”

 

 また、リリックの面でも、「崎谷健次郎さんの“思いがけないSITUATION”みたいな、〈ラヴソングの帝王〉と呼ばれていた頃の秋元康さんを意識」しつつ、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」が(裏の)背景に置かれた桜井曲、源氏物語の「夕顔」を参照した能の一節に死生観を投影した石井曲などもあって……それぞれ、ぜひ自分の耳で確かめてみて!

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