『12』と同様に盛大な悪態ソング“-187-”を冒頭に置いた、『ブルーフィルム』(廃盤)に続く第7期での2作目。本作から石井も楽曲制作に関与し、架空のV系バンドに扮した音声ドラマが導くテクノ・ポップ“近代的コスメ唱歌”をはじめ、全方位へシニシズムを放出。やりきれない切なさをもたらす桜井曲とのコントラストが凄まじい。
祭囃子ガレージな“マグロ”を筆頭に、エログロ&アングラなエッジがギラギラ光るメジャー移籍後の初フル作。電子ポップやジャズ歌謡、ロカビリー調など音楽性がグッと広がり、〈ギリギリ感〉を全編で漲らせ……というか、アウトだっただけに歌詞未掲載の曲やそれに対する恨み節ナンバーもあり、もうやりたい放題。
鈴木慶一のプロデュースによる、活動休止直前のオリジナル作。〈王道の桜井、逸脱の石井〉という当時の各々の方向性を〈殺し合いの時代〉と石井はのちに語っているが、広義のニューウェイヴ感覚を曇天のトーンで覆った楽曲群がクール。ラストの“青春狂騒曲”に向けてダウナーorポップに振り切った桜井製も含め、名曲多数の良盤だ。
石井によるグラマラスなデジロック“−踏−”とセンティメンタリズム全開の桜井曲“スクールゾーン”という両極の先行曲を含む、活動再開後のフル作。各々が村井と共作した“ハラショー! めくるめく倒錯”“月光ドライブ”の他、桜井がバナナを投げ、ジュリ扇を振る“混沌の猿”“マッキーナ”などステージの常連曲も多い、華やかな一枚。
復活後の約1年で得たバンドとしての力量を音に転じたミニ作。『10』のスタイルをより濃厚に凝縮した趣もあり、言葉のインパクトとパワー漲るサウンドで攻め立てるパンク~オルタナ群から、80sのアーバン歌謡的な詞を推進した“クロニック ダンス”、ライヴでは懐中電灯使いが定着した“オーバーナイト ハイキング”まで佳曲揃い。
伏せ字必至ワードをあえて使用したハードコアから艶めかしいエレポップ、東京を舞台にしたAOR歌謡まで、はみ出しては収束するメンバー個々のプレイが歪でスタイリッシュなポップネスを獲得しつつ、悪意もチラリと顔を覗かせる全11曲。最終的には流れを意識した楽曲制作がなされており、通して聴く心地良さを堪能できる一枚だ。
結成20周年を記念するセルフ・カヴァー集の第1弾。2009年のシングル『9 スクールゾーン編』に収録された“PPPH”を改編した“クソバカゴミゲロ”など特にイルなリリックを持つ桜井曲が選出され、ラフな音像で統一しつつ、アーリー・パンク~ハードコア化。ラストのドゥーミーな“サイレン”で放射される狂気には鳥肌が立つ。
2枚目のセルフ・カヴァー集は、すべて石井曲からピックアップ。ダンサブルなエレポップへと様変わりした“虜ローラー”など、オリジナルと比較してシンセやシーケンスが多用され、全体的にポップ度数を大幅に高めている。なかには過去曲同士のマッシュアップやメロディーが一部変わっているナンバーもあって、手の加え方が大胆。