第53回グラミー賞、そこでベスト・トラディショナル・フォーク・アルバムを受賞したのがキャロライナ・チョコレート・ドロップス。それまでも注目を集めていたが、その受賞によりまたいっそうファンを増やし、現代のアメリカーナ・ミュージック・シーンで輝きを放つ存在となっている。そんなバンドの中で紅一点となるリアノン・ギデンズが遂に初ソロ・アルバムをノンサッチよりリリース。最近はエルヴィス・コステロやマーカス・マムフォードなどによるプロジェクト、ザ・ニュー・ベースメント・テープスに参加してみたり、あの話題となったコーエン兄弟の映画 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』を題材とした一夜限りのライヴ・イヴェント「Another Day, Another Time」に出たりと彼女を知らない人でも気になってきそうな活動ぶりをみせている。
そんな活動にいつも名前が出てくるのが、あのT・ボーン・バーネット、そう今作のプロデュースも彼なんです。リアノン・ギデンズの良さを引き出すためにバーネットがバック・メンバーとしてレコーディングの地であるロサンゼルスとナッシュヴィルに呼び寄せたのは、彼女と同じく、アメリカーナの未来を担うバンド、パンチ・ブラザーズの面々など、なんともファンからするとたまらない感じのメンバー。元々バンジョーやフィドル、そしてギターなどマルチな演奏を聴かせる彼女、ドリー・パートンの《Don't Let It Trouble Your Mind》のカヴァーや、《Black Is the Colour》などのトラディショナルな楽曲、そこに自身のオリジナル曲も収録。ゴスペルやブルース、カントリーの要素も感じられ、まさにアメリカン・ルーツ・ミュージックの未来への輝きを収めたような傑作に仕上がっています。