LFJ 2015 Recommended Discs
端正な造形の中に、抒情美と劇的要素が融合した 「ヨハネ」の代表的名盤です。音楽の自然な流れと、陰影と抑揚が細やかに変化する合唱の絶妙さによりバッハの音楽が聴き手の心にやさしく語りかけてきます。
バロックから現代音楽まで幅広いレパートリーをもつクレール=マリ・ル・ゲが柔軟なタッチと自然な音楽の流れ、気品高い音楽性で描いたバッハ演奏です。落ち着いた佇まいの中で、バッハの内面世界を深く描き出してゆきます。
ケフェレックは現代ピアノの多彩な表現力を活かし、スペイン宮廷で長く活躍したスカルラッティの 「陽光と生きる歓びに溢れた作品と、憂鬱な闇夜を思わせるような作品」(彼女の言葉)を見事に描き分けています。
現代フランスを代表する名手デュメイが初めてベートーヴェンの協奏曲を録音しました。実演ではしばしば手がけていて、今年の 「熱狂の日」でも演奏します。彼のキャリアの総決算となる演奏がこのCDに刻み込まれます。
リスト晩年の敬虔な信仰心が感じられる、合唱とピアノによる美しい作品です。今年の 「熱狂の日」(公演番号:126)と同じ顔触れによるこのCDは、2013年にディアパゾン・ドール賞を受賞した名盤です。
ドイツと日本を中心に演奏活動を行う田部京子はブラームスをたいへん得意にしています。このCDもレコード芸術誌特選盤に加え、同誌読者投票による 「リーダース・チョイス2013」で第6位を得るなど高く評価されました。
大柄な体躯と超絶技巧を持ち合わせたベレゾフスキーには、同様に長身の名ピアニストだったラフマニノフの音楽がぴったり。同郷ロシアのオーケストラのサポートを得て、作品の情感と名技性を見事に表出しています。
ポルトガルのファドに、ボサノヴァやシャンソン、ジャズの要素を加えた彼独自の音楽世界がここにあります。彼の“ヴェルヴェットのような歌声”を、クリエイティヴなアコースティックのアレンジが包み込んでいます。
リコーダー×2、ヴァイオリン、チェロ、ピアノによるクラシック・バンドの魅力が詰まった1枚。過去現在の様々な音楽要素を取り入れた、スマートさとクールな詩情をもったオリジナル作品の数々は実に魅力的です。