2011年に、ジャズ・クラブのブルーノート・ニューヨークの創業30周年を記念して始まったブルーノート・ジャズ・フェスティヴァルは、6月の間ニューヨーク市内数カ所のヴェニューで、ジャズ、ブルース、ワールド・ミュージックと現代の音楽シーンをヴィヴィッドに演出して5年目を迎え規模も拡大し、今やニューヨークに夏の訪れを告げるイヴェントとして定着した。

 そして9月27日、横浜赤レンガ野外特設ステージで待望の日本上陸を果たす。このフェスティヴァルの魅力をお伝えしよう。

 避暑地のロード・アイランド州でジョージ・ウェインが1954年から主宰するニューポート・ジャズ・フェスティヴァルは、1971年にトラブルが起き中止に追い込まれた。翌年ウェインは、クラシックの有名ホールの夏のオフ・シーズンに着目して、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ニューヨークとして、カーネギー・ホール、リンカーン・センターなどで開催した。

 

 1981年にニューポートでのジャズ・フェスティヴァルが復活後も、開催時期を6月にしてニューヨークのフェスティヴァルは続く。1984年から2008年まではJVCが冠スポンサーに就き、大ホールのみならず、中小ホールや、野外ステージ、多くのヴェニューなどで、複数のコンサートが毎夜開催される、リゾート・フェスティヴァルとは異なった、都市型フェスティヴァルのスタイルを確立した。

 2008年の JVCの撤退後、一時的に復活した2010年を除いてニューヨークでの開催は不可能となり、2011年は、2009年と同様ニューヨークは、ジャズ・フェスティヴァルのない夏を迎えるのかと危惧された。しかし春先にジャズ・クラブのブルーノート・ニューヨークが、6月の間の1ヶ月間、15のヴェニューで80を超えるパフォーマンスを行うブルーノート・ジャズ・フェスティヴァルの開催を宣言し、ジャズや様々な音楽が溢れる、ニューヨークの初夏が復活した。

 

 1981年に創業したブルーノート・ニューヨークを旗艦とする、現在のブルーノート・エンターテインメント・グループは、傘下にブルーノート・ニューヨーク、B.B.King ブルース・クラブ&グリル、ルシールス・グリル、ハイライン・ボールルーム、ラテン・ヴェニューのスブローサをニューヨーク市内に持ち、米国内には、ワシントンDCのハワード・シアターを経営、ボストンの老舗レガッタ・バーのブッキングを手がけ、海外には、ミラノ、東京、名古屋に展開する。レコード・レーベルのハーフノート・レコード、PRやプロモーションを手がけるメディア部門を持つ、一大音楽コングロマリットに進化した。そのグループが総力を挙げて展開するのがブルーノート・ジャズ・フェスティヴァルだ。2015年も傘下のヴェニューに加えて、タウン・ホール、セントラル・パーク・サマー・ステージで開催される。

 出演者も、注目のジョシュア・レッドマン(ts)&バッド・プラス、このフェスティヴァルの常連となった上原ひろみ(p)から、ロバート・グラスパー(p)、ミシェル・ンデゲオチェロ(el-b,vo)、ナタリー・コール(vo)ら多彩なメンバーが出演する。

 都市型ジャズ・フェスティヴァルの伝統を引き継いだブルーノート・ジャズ・フェスティヴァルの初の海外進出は、その魅力を一日に凝縮し野外で開催される。コンテンポラリー・ジャズの最高峰パット・メセニー(g)を迎え撃つは、ジャズ・プレイヤーのオール・ジャパン、Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra、ニューヨーク編にも参加したロバート・グラスパー(p,kb)、ライヴ・バンドとして絶大な人気を誇るファンク・ユニット、スナーキー・パピーハイエイタス・カイヨーテと、本家に迫るラインナップだ。ブルーノート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ジャパンは、日本のジャズ・フェスティヴァル史に新たなページを刻むだろう。

 

LIVE INFORMATION

Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN
○9/27(日) 12:00開場/13:00開演 終演 20:30
会場:横浜赤レンガ野外特設ステージ
出演:PAT METHENY with BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA featuring Scott Colley & Danny Gottlieb : Directed by Eric Miyashiro/ROBERT GLASPER TRIO/SNARKY PUPPY/HIATUS KAIYOTE/and more…
bluenotefestival.jp/