ジャズピアニストにしてメタラーの西山瞳さん。メタルからの影響を反映させた新作『Dot』をリリースしたばかりの西山さんによるメタル連載が、この〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉です。第70回は当連載恒例、メタルがルーツのジャズプレイヤーへのインタビューです。馬場孝喜さんと則武諒さん、織原良次さん、鈴木直人さん、武藤祐志さん、江藤良人さんと続いてきた好評企画ですが、今回はTRI4THのベーシストである関谷友貴さんに西山さんが取材しました。 *Mikiki編集部

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突然寒くなりましたね。メタラーの皆さん、この秋の来日過密スケジュールは、どうお過ごしでしたか? 私は自分のツアーもあったので、9月のエクストリーム来日以降ライブに行っておらず、SNSに上がってくるライブレポを眺めて過ごしておりました。ぐぬぬ。

さて、今月は、〈メタルを通ってプロになったジャズミュージシャンへのインタビュー〉7人目、〈踊れるジャズ〉をコンセプトとした、インストゥルメンタルジャズバンドTRI4THで活躍するベーシスト、関谷友貴さんにインタビューを敢行しました。

私と同じ大阪出身の関谷さんですが、何かのインタビューで〈メタルをやっていた〉という情報をキャッチ。なるほど、TRI4THのベースプレイから滲み出る〈速いの好きだろうな感〉はメタル出身だ!ということで、インタビューしてみると意外な人との繋がりや、面白いキャリアが聞けました。

まずは、TRI4THの疾走チューンをどうぞ。

 

ベースとバス釣りは同じ〈Bass〉

――ベースを始めたきっかけを教えて下さい。

「中学の吹奏楽部でバリトンサックスをやっていたんです。2年生で入部した時の楽器はテナーサックスだったんですけど、男の部員が少なかったから、自動的にバリトンに。背も低かったんですけどね。

そんな時、一番仲が良かった友達がギターを始めて、当時流行っていたLUNA SEAとかBOØWYのCDを貸してくれて、格好良いやんって思って聴いていたら、〈それじゃバンドやろうぜ〉ってことになって。バリトンサックスをやっていたから、低音繋がりでベースをやることに。

しかも僕、バス釣りがめっちゃ好きなんですよ。スペルが〈Bass〉って一緒だから、ベースをやってみよう、みたいな(笑)」

――とても中学生らしいエピソードですね(笑)。

「そうそう、まじで中学生(笑)。いいじゃん、俺にぴったり!みたいな感じで始めて。

それまで見た目も音もどれがベースかわからないような中学生が、ベースの方がぜったいモテると思って、のめりこんだんです。そうしたらベースやバンドの方が楽しくなって、吹奏楽部はフェードアウト」

――エレキベースを始める時、楽器はどう工面したんですか?

「誘ってくれた子がどうしてもバンドをやりたかったから、〈ベースのお金を半分出すから、一緒にバンドやって!〉って。今考えるとおかしいでしょ。いきなりエンドースメントから始まったんで、すでにプロとしてスタートですよ(笑)。その彼は、すでにギターをある程度弾けていたから、色々教えてもらいました」

 

憧れのベーシストはLUNA SEAのJさん

――最初にやった曲は覚えていますか?

「BOØWYの“Marionette -マリオネット-”です。このベースライン、意外と難しいんですよ。でも、なんとかできた実感がありました。好きだったんでしょうね、低音が。

夏頃にベースを買って、バンドを始めて、その3ヶ月ぐらい後の12月にはライブも決まっていたんですよ。そこまでに10曲ぐらいやるぞって、練習して。

BOØWYの他は、LUNA SEAの“AURORA”っていうシンプルなミドルテンポの曲。それからGLAYとか、ヴィジュアル系の曲を暗譜してやりましたね。それが14歳」

――早いですね。バンドとライブありきでベースを始めたとは。

「そうです。地元の大阪狭山市にSAYAKAホールという公共ホールがあって、ライブはその第一リハーサル室にお客さんを入れて、皆スリッパで演奏していました(笑)」

――その頃の洋楽の入り口は、どういうきっかけでしたか?

「中2の頃は洋楽はまだ聴いていなかったけど、ヴィジュアル系が好きだったから、『BANDやろうぜ』とか『GiGS』とか、そういう雑誌を読んでいて。そこでL’Arc~en~Cielのギターのkenさんが〈イングヴェイ・マルムスティーンはすごい〉と言っている記事があって、この人が言うんだったら一回聴いてみようかなって。それで初めて聴いたのが“Far Beyond The Sun”。なんじゃこれ! 音多いな! やばー!って思いました。

当時、他に聴いていたのは、それこそ『バンやろ』に載っていたU2とか、ザ・ポリスとスティングとか、そこらへんですね」

――なるほど。

「高校生になって、フォークソング部って名前の軽音楽部に入って、そこで一緒にできそうな子たちと洋楽を演奏するようになったんです。ただ、自分で洋楽の曲のコピーはしていたけど、バンドでは洋楽をほとんどやれていなかったですね。でも、やった中で印象に残ってるのは“Into The Arena”(マイケル・シェンカー・グループ)」

――高校生でそんなのやってたんだ! 高校の時のライブ活動は、主に部活内だったんですか?

「最初は部活の中でやっていたけど、そこから派生して学外でバンドを組んだり、バンドコンテストに出たり。メタルが好きそうな友達のつてで学外のバンド仲間もできて、高2、高3ではガンガン活動してたっていう感じですね。地元のライブハウスとか、大阪市内とかで」

――活動を始めるのがかなり早いですよね。ベース自体を誰かに習ったことはあるんですか? 憧れのベーシストはいましたか?

「アメリカに留学するまでは我流でしたね。教則本、教則ビデオ、あとは何といっても『ベース・マガジン』ですよ。周りにベーシストがいなくて、それしか情報源がなかった。『ベース・マガジン』命です。

憧れのベーシストは、やっぱり初めはLUNA SEAのJさん。今も本当に格好良いと思ってる。そこからもう少し洋楽にシフトしていって、初めに行き着いたのはビリー・シーンかな。そこは避けて通れないっすね、僕ら世代では」

 

ケリーサイモンさん、すごい!

――ジャズにも繋がる即興演奏への入り口って覚えていますか?

「ケリーサイモン(Kelly SIMONZ)さんとの出会いが一番大きかったです。

高校1年生の時に、ヴァン・ヘイレンの最初のアルバム(78年作『Van Halen』)の“Eruption”のギターソロとか、あとミスター・ビッグとか、そういうライトハンド奏法のソロをベースでコピーしてたんですよ。

それを地元の小さい楽器屋で、うぉー!って弾いてたら、店長に〈うちでレッスンしてみないか〉って、スカウトされたんですよ。習う方じゃなくて教える方で。タブ譜しか読めないんですけど、高校1年生の時からなぜか人にベースを教えることになって、その楽器屋さんに入り浸ってたんですよ。

そこにある日、ケリーさんがCDを持ってきた。アメリカから帰国されて、ファーストアルバム(98年作『Sign Of The Times』)を置いてほしいって、プロモーションに来られて。

そこで、ケリーさんから〈ブルースは弾けた方がいい〉って聞いて、ブルースのフォームを教えてもらってセッションしたのが始まりです。勿論、即興っていってもルートしか弾けないし、多分フォームも沢山間違ってたと思うんですけど、その上でケリーさんが弾きまくっていて、すごい!!!って思って。それで洗礼を受けました。

その年の冬、ケリーさんのワンマンコンサートがSAYAKAホールであったんですよ。バンドがいると思ってたら、一人で全部やっちゃうんです。オケを全部自分で作って、歌いながら弾く。歌ってる時におもいっきりスイープで速弾きしながら。

すごく格好良くて、〈自分もアメリカ行ったらこんなことできるんだ!〉って思ったんですよ。そこからアメリカに行きたい欲が急激に上がって、日本の学校に行くより本場のアメリカでやった方が早いと思って、高校卒業してすぐロスのLAMA(Los Angeles Music Academy、現Los Angeles College Of Music)という専門学校に行きました」

 

ジミー・ハスリップの答えは〈Feel it!〉

――留学時代のことを教えてください。

「元々MI(ミュージシャンズ・インスティチュート)にいたジャズ系の先生が、MIから出て教えていたのがLAMAで、講師にフランク・ギャンバレとかもいました。

最初は、ヘ音記号の譜面は全く読めなかったんですが、タブ譜は読んでいたこともありリズム譜にはめっちゃ強かったんですよ。譜面を読めないとプロにはなれないっていう意識はあったので、特訓したら1年ぐらいで問題なく読めるようになって、そこからはむしろ譜面に自信が出てきた。

譜面は絶対読めるようになろうっていう意識があったのと、ジャズが弾けるようにならないとプロになれないって思っていました。

高校の時は、ジャズを色々聴いても全然響かなかったんですよ。4ビートのウォーキングベースはわけがわからないし、ジョン・コルトレーンの“Giant Steps”とかを聴いてて、〈これは何が起こってるんだろう? よくわからないけど格好良い〉とは思っていて。〈ベースラインをちゃんと作れるようになったら、プロになれるんじゃないかな〉と思っていました」

――プロになりたい気持ちは、とても強く持ってたんですね。

「そうですね。高校の時にフュージョンやギターインストは好きで、マーカス・ミラーとかイエロージャケッツのジミー・ハスリップとかジェフ・ベックとかを聴いてたんですよ。

そうしたらLAMAにジミー・ハスリップや、ジェフ・ベックの『Blow By Blow』(75年)で弾いてたフィル・チェンとかが教えにきてくれたんですね。高校の時にめっちゃ聴いていたベーシストが。

ジミーはレフトハンドで弦も逆に張っているし、〈何をやってるかわからない〉って言ったら〈Feel it!〉って言われました。むっちゃ格好良かったですね。ペンタ(トニックスケール)の使い方とかを色々パクったりしてたけど、〈Feel it!〉って言われて、〈おお、なるほど、手元を見てたらだめだ〉って。

フィル・チェンは、レジェンドなのに、こんなガキんちょにとても優しくしてくれました。当時リチャード・ボナが出始めた頃で、〈ボナっていうのがすごいんだよ! 一緒にライブ行こう!〉みたいな感じで、ライブも一緒に連れてってくれたりして。

彼もアジア系のジャマイカ人なんですけど、誰に対しても分け隔てなく表裏がないというか、そういうミュージシャンシップにはとても影響を受けました。そこはアメリカに行って良かったなあって思う」

――その頃は、ジャズのアンサンブルはしていましたか?

「入学してからわかったんですけど、自分が思っていたジャズ、それまで格好良いと思っていたジャズは、フュージョンだったんですよ。

当時ベース科は皆、ジャズもファンクもラテンもエレベで受講するカリキュラムで、最初にジョン・コルトレーンの“Equinox”をアンサンブルクラスで演奏することになったんですね。とてもシンプルな曲で、地味!って思ったけど、ヘ音記号を数えて読んで、なんとか演奏にしがみついていくのが始まりだったんです。

でも、そこからウォーキングベースの作り方を学んで、ある程度作れるようになってきたら楽しくなってきて、卒業する頃に学内の友達と色々セッションしていましたね」

――その頃によく聴いていたり、格好良いと思ったりしたジャズのアルバムがあったら教えて下さい。

「パット・メセニー・グループの『Speaking Of Now』(2002年)ですね。リチャード・ボナが加入して、ベースを弾かずに何でも屋さんで演奏するっていうアルバムだったんで、なんじゃこりゃと思いながら、それでも一番感銘を受けました。

PAT METHENY GROUP 『Speaking Of Now』 Warner Bros.(2002)

滅茶苦茶聴き込んでライブも行って、ライブではボナが1曲だけメセニーとトリオで“Bright Size Life”を弾いたんですよ。それがとても印象的でした」 

 

バークリーの作編曲科でひたすら勉強

――その後、バークリー音楽大学には作曲の方で行ったんですよね。

「LAMAは小さくてアットホームな学校で、様々な音楽スタイルを学べて良かったんですけど、そこで自分のファーストアルバム(2002年作『footprints』)を作った時に、作曲する引き出しが少なすぎるなと思って、バークリーに編入して、作編曲科に行ったんです。

通うのは2年と決めて、作編曲の授業を片っ端からとりまくって、ひたすら課題で曲を書きまくってましたね。最初はシンプルなところから、最後はビッグバンドのアレンジまでやって、大きな経験になりました。

ベースの方は、どうしたら仕事に繋げていけるかを考えて、レコーディングで演奏するクラスを積極的にとったり、ドラム&ベースのアンサンブルクラスをとったり、ジャズ以外にも広げて勉強していました」

――なんか、今までのお話を聞いていて、音楽人としての体力増強にとても力を使っていますね。積み上げがすごい。

「ビビリなんですよ。だって、皆すごいんです。当時バークリーの同級に、須川崇志君とかエスペランサ・スポルディングもいて、とにかく上手い人がいすぎて、メタルあがりの僕はどうしたらいいかって考えた結果が理論武装で(笑)。知識をつけないと、という感じで頑張ってたような気がします」

 

ウッドベースを始めたのはブロードウェイでの演奏

――ウッドベースの話が出てこないけど、その頃はまだ演奏していなかったんですか?

「ウッドベースは、アメリカから帰って上京して、TRI4THに加入するタイミングで始めたんです。僕、ずっとウッドベースはやらないって決めてたんですよ。仕事がきても断ってたけど、そうしたらやっぱり仕事が増えなくて、アンダーグラウンドで20代前半は過ごしてたんですけど、転機がTRI4THのメンバーと出会ったことで。

まだファーストアルバム(2010年作『TRI4TH』)を出す前なんですが、三谷幸喜さんのミュージカル『TALK LIKE SINGING』(2009年、主演:香取慎吾)をニューヨークのブロードウェイでやるので、そのバックバンドの話がTRI4THにきたんですよ。ただ、それにはウッドも弾かないといけなかったんです。それまでウッドは断っていたけど、それ以上に、帰国してからは〈アメリカに仕事をしに行く〉っていうのが第一の目標だった。〈じゃあやるか〉みたいな感じでスタートしたのが、ウッドの演奏を始めたきっかけ。

その仕事がアメリカで約13公演、日本で約50公演。勿論、当時自分たちがやっていた仕事と全然スケールが違ったけど、バンドにとっても自分にとっても、とても良い転機になりました」

――他に、TRI4THがバンドとして盛り上がってきたなと感じた時期ってありましたか?

「Playwrightのレーベルに入らせてもらった時、そこでぐっと広がったというか、やっぱりPlaywrightにはファンが一定数いて、そこに新しい風を吹き込めたかなという」

 

海外での学びを糧に日本のジャズを盛り上げる

――今、TRI4THのファンってどういう年代の人が多いですか? ジャズの中でも、商業的な前線にいるからこそ、そういう人たちが今何をどう感じているのかを聞きたいです。

「同年代かそれ以上が多いですよ。でも、大学のサークルでTRI4THのコピーしてくれたり、楽器が好きだったりする層は、ちょっと若かったりします。

やっぱり、若い人にも聴いてもらいたいし、そこに向けて球を投げてる割には、どうしてもチケット代が高いのが気になりますよね。専門学校でも教えているので肌感覚でわかるんですけど、やっぱりチャージが5,000円とか、若い人にはなかなか出せないと思います。でもあまり安くすると続けられない。学割を設定する時もありますけど、もうちょっと何かできるんじゃないかなと試行錯誤しています。

フジロックにも呼んでもらったし、音楽フェス、ロックフェスとか、若い層に球を投げられるような場所で、ジャズを聴いたことがない人でもわかりやすく、でも自分たちが飽きないように、いいバランスで知恵を出しつつ進んでいきたいです。ライブに来てくれたら、盛り上げる、楽しんでもらえる自信はあるんで。

今年10月に韓国のジャズフェスに出演したんですが、若い人も沢山来て盛り上がりました。ヘッドライナーを動員できるポップアーティストにして、予算を組んで、ジャズミュージシャンも呼んで、ちゃんとフェス全体でビジネスとして成り立つように工夫されていた。

コロナ禍直前に、アメリカのSXSWっていう大型フェスへの出演と、打首獄門同好会などの日本のロックバンドとアメリカ西海岸を何ヶ所か回るツアーが決まってたんですけど、コロナ禍でキャンセルになっちゃって、それが実現できていたら、ちょっと未来が変わっていたかもなと思うこともあります。

でも、これからも海外にも目を向けつつ、そこから何かを学んで輸入できたら、日本でももっとジャズが盛り上がってくるのかなって思います」

 

関谷友貴がメタルファンにすすめるジャズ曲

――さて、ここからは毎回皆さんに聞いている質問なのですが、メタルファンにおすすめするジャズアルバムを教えて頂けますか。

「ブレッカー・ブラザーズの“Some Skunk Funk”。アルバムも『Heavy Metal Be-Bop』(78年)って直球で言ってるし、入り口としてすごくわかりやすい。やっぱ速弾きじゃないですか。速くて音が煩いやつは、問答無用に響く。

THE BRECKER BROTHERS 『Heavy Metal Be-Bop』 Arista(1978)

それと、パット・マルティーノの“Oleo”。面白いんですよ、結構ロックギターフレーズを弾いてて、マルティーノは自分の中ではロックギタリスト。聴きやすいと思います。

PAT MARTINO 『Live At Yoshi’s』 Blue Note(2002)

あと、ウェザー・リポートの“Havona”。高速ユニゾンフレーズがあったり。やっぱり速いのって聴きやすいと思う。

WEATHER REPORT 『Heavy Weather』 Columbia(1977)

そして、リターン・トゥ・フォーエヴァーの“Medieval Overture”(76年)。この時期のRTFは、メタルに振り切れててめちゃ好きです。『Romantic Warrior』(76年)は、メタルばっかり聴いていた高校生の自分にジャズフュージョンの扉を開いてくれたアルバムだと思っています。

RETURN TO FOREVER 『Romantic Warrior』 Columbia(1976)

それから、自分のでもいいですか? TRI4THに“Rebellion”って曲があって、それはほぼメタルの曲だと思います。テンポがめっちゃ速くて、速弾きしまくってるし、僕はウッドベースなんですけど、ファズで歪ませて、ぐおー!って弾いてるので、聴いてほしい。

TRI4TH 『4th Rebellion』 Playwright(2017)

昔めっちゃ好きやったのは、ナイアシン。メタルに入れるべきか、境目がよくわからないですけど、ファーストアルバム(96年作『Niacin』)の“Pay Dirt”って曲とか、“No Man’s Land”とか、聴いてほしいですね」

NIACIN 『Niacin』 ビデオアーツ・ミュージック(1996)

 

関谷友貴がジャズファンにすすめるメタル曲

――では、逆に、ジャズファンにおすすめするメタルアルバムは?

「好みでいいですか? ミスター・ビッグの“Colorado Bulldog”。Aメロがウォーキングベースで格好良いです。

MR. BIG 『Bump Ahead』 Atlantic(1993)

あと、スティーヴ・ヴァイの新譜『Inviolate』(2022年)。めっちゃ格好良いんですよ。リードトラックの“Teeth Of The Hydra”では、Hydraというパット・メセニーのピカソギターのような楽器を弾いてて、多分ジャズの人も聴きやすいと思う。

STEVE VAI 『Inviolate』 Favored Nations/Mascot/Provogue/ソニー(2022)

個人的に好きなのはアイアン・メイデン。メイデンはやっぱり好きです。“Aces High”とか。ベースが派手で、あとツインリードギターが好きですね。ハロウィンもよく聴いていたのですが、元々はX JAPANからの流れで聴いて、〈ああ、これか〉っていう感じ。メイデンは沢山コピーしました。スティーヴ・ハリスって、カリスマ感が本当に格好いいと思う。ビリー・シーンみたいなのじゃないけど、でも格好良いっすね」

IRON MAIDEN 『Powerslave』 EMI(1984)

 

ビリー・シーン奏法と〈足し算〉の音作り

――今の自分の演奏の中で、メタルの経験が活かされていることって、何かありますか?

「あります(即答)。ビリー・シーンの3フィンガーのピッキングを真似してるんです。実は今、ウッドベースでソロを弾く時に一番のピークで結構その3フィンガーを使ってて、いまだにビリー・シーンの3フィンガー奏法でベースを弾いてます(笑)。おりちゃん(織原良次)も、ビリー・シーンの3フィンガーのことをインタビューで言ってましたね(笑)。

あとは、音作り。ウッドでも、エフェクターボードはこんな感じです。ウッドベースでこんなセッティングしている人、あまりいないと思います。サポートミュージシャンだったら多分こんな必要ないと思うんですけど、笑けるほど音がでかいんですよ、うちのバンド(笑)。足し算で闘う、みたいな。

関谷友貴のエフェクターボード

音作りは、最初にケリーさんのコンサートを見に行った時に洗礼を受けて。ホールに一人でマイクスタンドとギターとマーシャルをドーンと置いて爆音で、みたいな。本当に格好良かったですね」

――教則本「3年後、確実にジャズ・ベースが弾ける練習法」(2021年)も書いてらっしゃいましたね。

「そうなんです。ある程度ベースは弾けていても、僕の高校生時代みたいにウォーキングベースがわからなかったりタブ譜でやったりしてるような子たちに向けて、順序立てて教える教則本です。初めはコードトーンの説明からスタートするんですけど、だんだんクロマチックアプローチとか、曲に合わせたリズムのとり方とか、最後はセッションに行ってみよう!みたいな。

2年前の冬に出したんですけど、当時はコロナ禍でライブも少なかったから、10ヶ月ぐらいかけて書きました。〈3年後にできるようになる〉っていうシリーズの教則本なので、長期プランで頑張ってもらえたらと。本に付属するCDのデモトラックは全部エレベで弾きましたが、エレベでもウッドでも対応できます。さらに教則本をマンツーマンでサポートするベーシスト養成コースも開講中です。やる気があれば、必ず弾けるようにします」

関谷友貴 『3年後、確実にジャズ・ベースが弾ける練習法』 リットーミュージック(2021)

 

自分しか出せない音を求めて

――エレキベースでジャズすることの面白さとか可能性って、どんな風に感じていますか?

「僕が行っていた学校がロスで、商業音楽の街ということもあって、エレベの人が多かったんですよ。学校も街自体もエレベでジャズしても別にいいんじゃね?みたいな空気で、オープンでしたね。

エレベでスウィングさせるのは、ウッドでスウィングさせるより難しいと思うんです。楽器の響きが〈点〉になっちゃうんで、リズムにもストイックさが求められるし、すごく難しいんですけど、それ以上に、ちゃんと探せば自分しか出せない音色が出せるような気がしてるんですよ。

勿論、ウッドでも沢山の素晴らしいプレイヤーが自分の音を持っているんですけど、エレベだったら、スティーブ・スワロウとアンソニー・ジャクソンは全然別の音色だし、ジャコ・パストリアスもマーカス・ミラーも違う。アメリカに行って学んだ大きなことが、皆自分の音色を持っていたっていうことなんですよ。ジミー・ハスリップだってそうだし。

自分もそうなりたくて、日々チャレンジしてる。それはバンドだとTRI4THで、ウッドでも自分しか出せない音を拡張させて、自分しか出せない音楽にチャレンジしてるって感じです。楽しいですね」

 


INFORMATION
【関谷友貴(TRI4TH)】
TRI4TH 2024 New Year Special LIVE @ コットンクラブ

2024年2月2日(金)東京・丸の内 COTTON CLUB
1st show 開場/開演:17:00/18:00
2nd show 開場/開演:19:30/20:30
出演:TRI4TH 伊藤隆郎(ドラムス)/織田祐亮(トランペット)/藤田淳之介(サックス)/竹内大輔(ピアノ)/関谷友貴(ベース)

■料金(全席指定)
テーブル席 : 6,500円
ボックスシート・センター(2名席):9,000円
ボックスシート・サイド(2名席):8,000円
ボックスシート・ペア(2名席):8,500円
ペア・シート(2名席):7,500円
※料金は1名様あたりの金額となります

https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/tri4th/

Tomotaka SEKIYA Jazz Metal Project
2024年2月12日(月・祝)東京・池袋 Absolute Blue
開場/開演::17:00/18:00~19:00(1st)/19:30~20:30(2nd) ※入替なし
出演:関谷友貴(ベース)/Kelly SIMONZ(ギター)/國田大輔(ギター)/松浦千昇(ドラムス)
前売り/学割/配信:5,000円/2,500円/2,500円〜

 

ストアカ
マンツーマン・サポートで身に付く! ベーシスト養成月額プラン

「3年後、確実にジャズ・ベースが弾ける練習法」をマンツーマンでサポートするベーシスト養成コース開講中。
https://www.street-academy.com/subscription/services/1500

 

TRI4TH 『CALM & CLASH』 SME(2023)

リリース日:2023年2月15日

■通常盤
品番:SECL-2829
価格:3,300円(税込)

■初回生産限定盤
品番:SECL-2827~8
価格:5,500円(税込)

DISC 1(CD)
1. A Touch of Yellow Bird
2. DISCO GARAGE
3. 光 feat. TOSHI-LOW
4. Just Roll
5. Delight
6. Bloom
7. Sculpture Garden
8. SWINGERS JIVE
9. ルパン三世のテーマ ’78
10. A Tail of Yellow Bird

DISC 2(BD) ※初回生産限定盤のみ収録
TRI4TH 15th Anniversary “Beyond” Tour at Zepp DiverCity 2022.6.7
TRACKLIST
1. Beyond
2. For The Loser
3. Freeway
4. Goodtime
5. Stompin’ Boogie
6. Move On
7. Guns of Saxophone
8. LET JERRY ROLL feat. チバユウスケ
9. Green Field〜Solo Part〜Echoes
10. Sand Castle
11. FULL DRIVE
12. BMWの女
13. Dance ’em all
14. SENRITSU

 

【西山瞳】
2023年12月9日(土)神奈川・横浜 上町63
開場・開演:15:00(1st)/16:30(2nd) ※2セット
出演:西山瞳(ピアノ)
チャージ:3,300円(要1 Drink Order)
学生:2,750円(1 Drink付き/要学生証提示)

2023年12月15日(金)東京・池袋 Apple Jump
開場/開演:19:00/19:30(終演予定 22:00) ※2セット
出演:西山瞳トリオ 西山瞳(ピアノ)/西嶋徹(ベース)/則武諒(ドラムス)
チャージ:3,500円

2023年12月16日(土)蕨 Our Delight
開場/開演:13:00/13:30(終了 16:00頃) ※2セット、入替なし
出演:西山瞳(ピアノ)/鈴木直人(ギター)
チャージ:3,600円(別途1,000円分のドリンク券)
29歳以下の本業学生:1,100円(別途1,000円分のドリンク券)
29歳以下の社会人:2,600円(別途1,000円分のドリンク券)
配信あり:https://twitcasting.tv/f:2943838705694855/shopcart/275661

★詳細やその他のライブについては西山瞳のオフィシャルサイトへ

 

西山瞳 『Dot』 MEANTONE(2023)

リリース日:2023年11月22日(水)
品番:MT-12
価格:3,190円(税込)

TRACKLIST
1. Turtledove タートルダブ
2. Dot ドット
3. The Rider ザ・ライダー
4. To Return トゥ・リターン
5. Tidal タイダル
6. Red and Yellow レッド・アンド・イエロー
7. Pigeons ピジョンズ
8. Baroness バロネス
9. Lighthouse ライトハウス
(全曲 西山瞳作曲)

■メンバー
西山瞳 ピアノ、作曲 Hitomi Nishiyama piano,compose
西嶋徹 ベース Toru Nishijima bass
則武諒 ドラムス Ryo Noritake drums
鈴木孝紀 クラリネット Takanori Suzuki clarinet (on 2, 3, 5, 6, 9)
橋爪亮督 テナーサックス、フルート Ryosuke Hashizume tenor sax, flute (on 2, 3, 5, 6, 9)
maiko バイオリン maiko violin (on 2, 3, 5, 6, 9)

2023年7月12-14日 群馬県高崎市 TAGO STUDIO TAKASAKIにて録音
録音、ミックス、マスタリング:松下真也(Piccolo Audio Works)
FAZIOLI F278使用
ピアノ技術:越智晃(Fazioli Japan Co., Ltd.)
アートディレクション:平岡直樹(yuu)

 


PROFILE: 西山瞳
79年11月17日生まれ。6歳よりクラシックピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス在学中より、演奏活動を開始する。卒業後、エンリコ・ピエラヌンツィに傾倒。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパジャズファンを中心に話題を呼び、5か月後には全国発売となる。2005年、〈横濱JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション〉において、自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデンにて現地ミュージシャンとのトリオでレコーディング、『Cubium』をSpice Of Life(アミューズ)よりリリースし、デビューする。2007年には、日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、そのパフォーマンスが翌日現地メディアに取り上げられるなど大好評を得る。以降2枚のスウェーデン録音作品をリリース。2008年に自己のバンドで録音したアルバム『Parallax』では、スイングジャーナル誌日本ジャズ賞にノミネートされる。2010年、〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉(アメリカ)で、全世界約15,000のエントリーのなかから自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門で3位を受賞。コンポーザーとして世界的な評価を得た。2011年発表『Music In You』では、タワーレコードのジャズ総合チャートで1位、HMVの総合2位にランクイン。CDジャーナル誌2011年のベストディスクに選出されるなど、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2014年には自身のレギュラートリオ、西山瞳トリオ・パララックス名義での2作目『Shift』を発表。好評を受け、アナログでもリリースする。2015年には、ヘヴィメタルの名曲をカバーしたアルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』をリリース。マーティ・フリードマン(ギター)、キコ・ルーレイロ(ギター)、ヤング・ギター誌などから絶賛コメントを得て、発売前よりメタル・ジャズの両面から話題になり、すべての主要CDショップでランキング1位を獲得。ジャンルを超えたベストセラーとなっている。同作は『II』(2016年)、『III』(2019年)と3部作としてシリーズ化。2019年4月には『extra edition』(2019年)もリリース。自身のプロジェクトの他に、東かおる(ボーカル)とのボーカルプロジェクト、安ヵ川大樹(ベース)とのユニット、ビッグバンドへの作品提供など、幅広く活動。〈横濱JAZZ PROMENADE〉をはじめ、全国のジャズフェスティバルやイベント、ライブハウスなどで演奏。オリジナル曲は、高い作曲能力による緻密な構成とポップさが共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。