コラム

「さらば、愛の言葉よ」 巨匠ジャン=リュック・ゴダールが3D最新作で描いた〈いままで見たことのない映像〉がソフト化

ジャン=リュック・ゴダール『さらば、愛の言葉よ』
巨匠ゴダールの3D最新作!

(C)2014 Alain Sarde - Wild Bunch

 

 ゴダールの新作が3Dと聞いて、不安がなかったと言ったら嘘になる。何より、ゴダールが3Dを撮るとどうなるのか、皆目見当がつかなかったのは事実である。蓋を開けてみると、「ゴダールさん、3Dの使い方間違ってますが?」の連続なのである。「この3D眼鏡壊れてるんですけど!」と、従業員に詰め寄る観客がいるのではないかと心配してしまうレベルなのである。

 この、「ゴダールさん間違ってますが?」こそ、ゴダールをゴダールたらしめてきたことは、処女作『勝手にしやがれ』の「つなぎ間違い」から変わっていないのだと、映画を観終わった今なら平静に語ることができる。ただ、見ている間は、痛快なまでに「なんじゃあこりゃあ!」の連続に驚き呆れ笑ってしまうだろう。

 その意味でのクライマックスは、映画の真ん中くらいで起こる。左右の目に異なる二つの映像が同時に流れるのだ。それが少しすると、ピタッと左右の映像が重なる(つまり一つの“ふつう”の映像になる)。おそらく1分にも満たない衝撃のシークエンス! 以上、クライマックスのネタバレですが、見ていない人には何を言っているのか全く分からないのでいいでしょう。

 『アバター』や『ゼロ・グラビティ』といったハリウッドの3D映画への賛辞としてすでにインフレの感のある“今まで見たことのない映像”という言葉に、83歳のゴダールがコロンブスの卵のようなやり方でとどめを刺した。これが真に“今まで見たことのない映像”だと。そんな事態があっけらかんと目の前に現れた時の衝撃というものがどういうものであるのか。百聞は一見に如かず。ご自身で目で耳で五感で是非確認していただきたい。

 それにしても、この未曽有のスペクタクルを前にして、“美しい”などという言葉の小ささを思い知らされる。美しさなど、もはやどうでもいい。そんな私たちに、ゴダールはヒロインの放屁という大サービス。

 『さらば、愛の言葉よ』祝3Dブルーレイ発売!

 

ジャン=リュック・ゴダール さらば、愛の言葉よ 3Dスペシャル・コレクターズ・エディション コムストック(2015)

さらば、愛の言葉よ 3Dスペシャル・コレクターズ・エディション
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:エロイーズ・ゴデカメル・アブデリリシャール・シュヴァリエ

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