4 the SUMMER in you
[ 特集 ]夏フェスを聴こう、2015。

今年もこの季節がやってきました! 楽しい日々をもっと楽しくするために、スケジュール調整といっしょに耳の夏支度もそろそろ始めませんか~!?

 


MARMOZETS
若さゆえのスリルと、早熟した演奏スキルを堪能せよ!

 

 やったあ! マーモゼッツのファースト・アルバム『The Weird And Wonderful Marmozets』が、満を持してワールドワイド・リリースされることになった。

 UKはウェスト・ヨークシャー発、紅一点のベッカ・マッキンタイア(ヴォーカル)をフロントに据えたこのバンドのメンバーのうち、3人の名字がマッキンタイアで、他の2人はボトムリー姓。要するに2組の兄弟から成る、血も濃いうえに音楽的背景もあらかじめ共有できている5人組なのだ。まだまだ20代前半の若さだけれども、ちゃんと歴史も伴っていて、結成は全員がまだ学生だった2007年に遡る。2012年にはギャロウズの主宰するレーベルからシングル“Good Days”を発表し、翌年にロードランナーと契約。今回、日本盤化されたデビュー作は、母国では昨年9月にリリースされており、各音楽誌などでも軒並み高評価を獲得。2014年のベスト・ニューカマーの座を独占している。

MARMOZETS The Weird And Wonderful Marmozets Roadrunner/ワーナー(2014)

 彼ら自身が影響を受けてきた対象として名前を挙げているのは、例えばマーズ・ヴォルタとか、デリンジャー・エスケイプ・プランとか。そしてその音楽性について評される際に用いられがちなのは、〈ハードコア〉とか〈エモ〉といった言葉。しかし、そういったキーワードを組み合わせてみたところで、マーモゼッツのユニークさを正確に言い表すことはできない。むしろ〈奇妙で素晴らしい〉という意味合いのアルバム・タイトルこそが、何よりも正確にこのバンドを形容する言葉だと言えるんじゃないだろうか。なお、邦題は〈マーモゼッツの奇妙で素敵な世界〉と付けられている。

 同時に彼らは、ライヴ・バンドとしても高い支持を集めている。写真や映像をちょっとチェックしてみただけでも、その激烈さとカオティックな凄まじさは伝わってくるはず。まさに迸る若きエネルギー、という感じ。そんな生々しくも刺々しい激情、ひねくれたポップセンスや、メタル・ファンの要求にも十二分に応えるヘヴィーな音圧といったものが、『The Weird And Wonderful Marmozets』にも過剰なほどの密度で詰め込まれているし、この音に触れれば、彼らが強力なライヴ・バンドであることを、誰もが察知できるだろう。ちなみにアルバム・プロデュースを手掛けているのは、ハンドレッド・リーズンズのギタリスト、ラリー・ヒビット。もちろん彼が実践したのは、グループの型破りな魅力をリアルにそのままパッケージすることだけだったはずだし、実際、歓迎すべき意味での粗削りさ、未整理でささくれ立った感触といったものも、有効に音源上に残されている。

 そんなマーモゼッツが〈サマソニ〉に出演するため、この8月に絶好のタイミングでの初来日を果たす。物凄く正直に言えば、あえて狭苦しいライヴハウスで観てみたい気もするけども、平均年齢が18歳だった2011年当時から〈グラストンベリー〉や〈ダウンロード・フェス〉〈レディング&リーズ〉といった由緒正しい英国の大型フェス出演を重ねてきている彼らだけに、どんな場所でもライヴハウス化してしまう術はとっくに身に付けているはず。キュートなルックスからは想像もつかないベッカのスクリーム&シャウトはもちろん、無軌道なようでいて無闇な爆裂には留まらない、超アグレッシヴかつタイトで鋭いバンド・アンサンブルを披露してくれることだろう。そしてきっと、ショウの後には〈やってくれたぜ、マーモゼッツ!〉という爽快感を味わわせてくれるに違いない。

 

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