広がるグラスパー・ワークス
本誌では以前『Black Radio』と『Black Radio 2』をそれぞれ特集した際におおよその客演仕事は紹介されていたので、ここではそれ以降のグラスパー参加作品をザックリ紹介しておこう。テイラー・マクファーリンやオーティス・ブラウン3世との手合わせはジャズの革新を進める彼らしいもので、共同制作を担当したシェウン・クティとの絡みはディアンジェロら往年のネオ・ソウル勢をフォローする動きのようにも思える。
エクスペリメント作品でグラスパーに触れたリスナーには、ダマーニ・エンコシの“Now That's Love”でのプレイや、アルバム自体がRGEに着想を得たようなブランドン・ウィリアムズとの合体は聴き逃し厳禁。また、『Covered』同様のメッセージを打ち出していたマーカス・ミラー『Afrodeezia』や、エグゼクティヴ・プロデューサーを務めたジェフ・ブラッドショウのネオ・フィリー的ライヴ盤は、現在のグラスパーと背景を同じくする音楽を知るうえでも重要だろう。後者ではライヴ/スタジオ録音の2種収められた“All Time Love”でピアノとローズを弾き分けているのも聴きどころだ。
なお、グラスパー自身はトム・ヨークやスティーヴィー・ワンダーとのコラボを熱望しているようだが、そんな夢も『Covered』をきっかけにグッと近づいてきたのではないだろうか? 本人の作品はもちろん、今後の多様なコラボ展開も楽しみだ。