「藤本先生の聴くだけでスッキリ!」シリーズ 3タイトル同時発売

 藤本幸弘医師によって監修・選曲・解説された『聴くだけでスッキリ!』シリーズ、「痛み」「悩み」「不眠」スッキリの3タイトルが同時発売される。類似の企画は今まであったが、「痛み」にうったえるものはなかったように思う。画期的だ。

 「この企画は、4年程前に出版した『聴くだけでスッキリ痛みがとれる!』が発端です。痛みを『マスク(覆う)』する術はあり、それを日常に使えないかと思ったわけですが、その術のひとつこそ音楽です」

 当初、藤本医師は麻酔科の医師として、痛みとそれに伴う孤独に苛まれる患者を客観視できなかったという。

 「痛みを抱えながら過ごす一日24時間は本当に長い。その苦痛や孤独を緩和できる方法はないか、と」

VARIOUS ARTISTS 藤本先生の聴くだけで痛みがスッキリ~片頭痛・肩凝り・腰痛・関節痛・生理痛・腹痛 ユニバーサル(2015)

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 患者の生活に医者がずっと付き添えるわけではない。医者の代わりに寄り添って癒す音楽が今回、選曲に並ぶ。

 「病気ではないが健康でもないという人が本当に多い。例えば 5人に1人が片頭痛に悩んでる。薬ではなかなか治らない。痛みには急性痛と慢性痛があり、急性痛は怪我や病気に依るもので、これならば医療機関で解決法を導き出すことが出来る。片頭痛のような慢性痛がやっかい。慢性痛は自律神経とホルモン分泌に乱れが生じ、神経組織に痛みが記憶された結果です」

 医師ならではの説明が続く。

 「人間の脳は旧脳と新脳に分かれ、思考や言語を司る新脳には音楽を聴くと『エンドルフィン』や『ドーパミン』という物質が出ます。この『エンドルフィン』にはモルヒネの6倍もの鎮痛効果がある。さらに、快感ホルモン『ドーパミン』の作用を延長もさせます。『エンドロフィン』によって、痛みの中枢をマスクできるのです。それを促すのが音楽であり、痛みを忘れさせる。これを『聴覚性痛覚消失』といいます」

 ならば音楽なら何でもいいのだろうか。

 「クラシック音楽は、より複雑です。難しいものを克服したり理解する方が脳内では報酬が出る。難しい曲を理解すると余計に感動は深まるのです」

 藤本医師自身もクラシック音楽マニア。2013年のワーグナー生誕200年には、バイロイト詣でも果たし、METライブビューイングも熱心に通う。

 「脳を使いきちんと聴きこめる曲ばかりを選びました。『痛み』には旋律が綺麗で、ドーパミンが出やすい曲。『悩み』は共感することが大切。元気を出せではダメで、暗い曲からスタートし、中間から曲想を変え明るくなり、1時間で気分が切り替わるようにしました。『不眠』も心地よい曲ばかり。音源の素晴らしいユニバーサルだからできたことですね(笑)」