ここではRHYMESTERおよびメンバー個々のゲスト参加作を、前作『ダーティーサイエンス』(2013年1月)以降にリリースされたなかから紹介しておきたい。
まず、グループとしての客演だと、Base Ball Bearの同名EP表題曲となった“The Cut”は翌年のアルバムにも再収録された意欲的な一曲として思い出される。ロック・バンドとのコラボはもちろん初めてではないものの、いわゆるギター・ロック系の演奏との絡み姿の良さは、大型の邦楽フェスにも多数出演するようになったステイタスの賜物でもあるのかもしれない。一方、異常に手の合う出来映えとなったのがSOIL & "PIMP" SESSIONSとの“ジャズィ・カンヴァセイション”で、演奏陣と対話するラップとターンテーブルの楽器としての性能の良さを見せつけている。
また、DJ JINが手掛けたleccaとの“Sky is the Limit”、FG仲間でもあるKOHEI JAPANの“天気晴朗ナレドモ波高し”も盤石のライムス節。そのKOHEIとの共演では、急逝したMAKI THE MAGICの遺したビートでマイクを掲げた“Maki-izm”も忘れられない。さらに主催フェスでの共演に繋がった10-FEET曲のリメイク・コラボ“focus(re-focus)”では、原曲に敬意を表してミクスチャー風のフロウに挑む宇多丸の振る舞いが聴きどころだ。
そのようにグループ仕事ではストロングスタイルの眩しい宇多丸ながら、個人としてはラジオ/TVや文筆などで活躍する存在の濃さゆえか、松井寛の“Universe of Love”や藤井隆の“Quiet Dance”などBUNKEI最強の先輩という存在感を乞われる機会も多い。
対してMummy-Dは昔から後進のヒップホップ・アクトに招かれることが多く、近年もSALUの“Changes”、DJ Deckstreamの“浪漫は一日にしてならず”と“Stormy”、KEN THE 390×SKY-HI×KREVAとの“Shock!”、DJ RYOW“ゆらめく”など、一口に日本語ラップといっても幅は実に広い。また、マボロシ仲間である竹内朋康のソロ作に駆けつけていたのも記憶に新しいだろう。
そしてDJ JINは、Jazzy Sportとの縁からCro-Magnon-Jinを組むなど、クラブ・プレイを基盤に独自の活動も展開している。直近のプロデュース仕事では、和風ミクスチャー・バンドの志磨参兄弟や、FG繋がりでもあるUL(MCU+LITTLE)の新作にて“トビショック”を手掛けていたばかり。こうした個々の活動がライムス本隊の活動を磨き上げているのは言うまでもない。